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September 28, 2005

希望無き者たちとナショナリズム

「富の独裁者」エイミー・チュア著(光文社)
世界を混乱におとしいれ、民族紛争の報復の連鎖を生む要素として極端な自由主義的市場経済、多数決民主主義、経済支配的少数民族をあげ、非欧米諸国で起こった少数民族による専制や多数派民族による苛烈な報復(虐殺)についての論考とアメリカが世界経済の中の「経済支配的少数民族」と見なされている危険性を指摘している。
読了して感じたことは、「劣等感、嫉妬心を持ち自分の将来に対する希望の無い者がいかに憎悪を煽るような民族主義に溺れ、残虐な行為に手を染めやすいか」だ。
経済格差の問題は、実際の格差よりも、どれくらい不公平感があるかが憎悪や、屈辱感の増大にかかわってくる。

筆者はあまり触れていないが、アメリカ国内の犯罪の多さも格差による不公平感がかかわっているのだろう。

性急に骨太(に弱者を叩く)な改革を進めているこの国で溜った鬱憤が、昨今の民族主義的傾向の増大や差別的な近隣諸国に対する悪罵の根源なのかもしれない。口汚く罵ることで溜飲をさげて癒される。それだけでいいのだろうか。

これらの憎悪を解決するには、寛容と互譲の精神を訴えるだけで足りるのだろうか。漸進的ではあっても不公平を取り除く有効な手立てが必要なのではないだろうか。

世界第2位の経済大国のこの国で、ただただ自己愛に溺れて自らを踏み潰そうとする者に喝采を送っている姿を果たして他の国の人々から同情してもらえるだろうか。良くて迷惑な隣人、悪ければ憎しみと軽蔑が待ってはいないか。

それを解決するのはイメージ戦略だけでこと足りるとは思わない。サラ金のようにお金をかけたり様々な権謀述作でイメージをコントロールしたところで、醜い姿は変わりはしない。自分たちのことは自分たちで解決するしかない。
他者を侮り肥大化した自己評価は却って自らを危うくすることにつながる。

この国は自分たちのことを自分たちで解決できるだけの経済的基盤と、不完全な制度ではあっても政策形成の過程に参加する術とそれなりの教育水準を持っている。だからこそ、愛は盲目では済まされない。自治し自己改善をはかる責務を負っている。
これからのこの国で、破壊され尽くした不公平是正のための手段の前で未来の人々が絶望しなくて済むように。今できることを一つずつやっていきたい。そのことが偏狭なナショナリズムを克服する第一歩なのかもしれない。

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「経済・政治・国際」カテゴリの記事

Comments

せっかくTBいただいたのに、mtが勝手にスパムに分類してくれたおかげできづきませんでした。ごめんなさい。

Posted by: とく | September 29, 2005 at 11:42 PM

とくさんはじめまして(^^)
ご丁寧にありがとうございます。
よろしくお願いいたします。

スパムTB多いのでしょうかね?
うちは、電波TBは…少々ありますが、まだスパムTBはきてませんw
勝手に削除されているのでしょうか?
そのあたりがまだまだ不慣れなものでわからないのです。

Posted by: miyau | September 30, 2005 at 01:13 AM

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