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October 01, 2005

@nifty:NEWS@nifty:靖国参拝違憲判断、今後の参拝に首相「影響なし」(読売新聞)

リンク: @nifty:NEWS@nifty:靖国参拝違憲判断、今後の参拝に首相「影響なし」(読売新聞).

この読売新聞配信のニュースを見てまず一言、この判決は、いままで小泉首相の靖国神社公式参拝の是非を問うた数ある裁判で、高裁で「違憲」判決が出たのは初めてであるということがごっそりと抜け落ちていることを言っておかなければいけないだろう。

そして題名に首相の単語を無批判に垂れ流すだけ。斜め読みサイトとはいえ、「憲法違反であるとは思っていない。首相の職務として靖国神社に参拝しているのではない。それがどうして憲法違反なのか、理解に苦しむ」と述べた。

だけを引用すると、あら不思議、あたかも大阪高裁が下した違憲判決はとうてい理解しがたい内容のものに変身してしまう。
さて、この判決の内容を知りたくない人は以下を読まないことをオススメする。到底認められない事実が書かれているからだ。

この判決のポイントは政教分離を定めた日本国憲法二十条【信教の自由、国の宗教活動の禁止】 に反するかどうかを判断するときにいわゆる「目的効果基準」といわれる基準で判断されるが〔津地鎮祭判決〕、小泉首相の行動が宗教的行為であることを前提として「国の機関である『首相』として行われたのか、『私人』として行われたのか」を厳しく問うた点にある。
しかも原告の控訴が棄却されたので、この違憲判決は確定するのだ。

まず、中学校で習ったと思うが、なぜ憲法で政教分離が規定されたのかをおさらいしよう。
国と宗教とが分離されることはなぜ必要か?
〔歴史〕国と宗教との結びつきによって、正統と異端とに分類され、異端に対して迫害が行われてきた。
※日本でもキリスト教の迫害や戦時中の国家神道による他宗教の弾圧があった
〔宗教と政治の根本的性質の違い〕宗教は、人の究極的関心であって、本来、他者との合理的対話を不可能とする。政治領域が、「妥協と調整」のメカニズムだとすれば、宗教的対立にもとづく政治的対立は、政治領域を妥協不可能なものとする。
※信じることが前提の宗教と疑うことを必要とする政治をイッショクタニするなよということ。
〔宗教の独立性の保障〕宗教は、本来、信仰する者の自発的な支持によって支えられるべきで、国のバックアップによって、腐敗する可能性がある。

この3点があげられる。詳しく知りたい方は、愛媛玉ぐし料訴訟の判例補足意見少数意見を参照して欲しい。または、論文を参照したい方は、法学館憲法研究所の政教分離を参照。

いままでの判例がとっていた目的効果基準は、本来的には福祉国家化の過程で、国が国や地方公共団体が財政出動する場合(宗教団体が設立した私立大学や幼稚園に補助金を出すような場合)に適用される基準なので、国の機関である首相が宗教的行為を行った場合には即刻違憲という学説が有力なのだ。


-------------------------------------以下引用

遺族会幹部の1人は「原告側は裁判を運動に利用しているにすぎず、判決自体は訴えの利益がないとして、請求を棄却した」とし、「首相の行動が公的か私的かの定義はあいまいで、ここまで厳格に政教分離を定めている国は世界でもまれだろう。本当に違憲なら今後、憲法の改正を求めていくしかない」と語った。
2005年9月30日13時45分 読売新聞

-------------------------------------引用終了

公私の別があいまいだから問題なのだ。明確に私的参拝であれば、全く憲法問題にならなかったのだから。

自己の信じる宗教の発展のためであれば、他の宗教を信じる者の権利など微塵も考えないような思考構造をこそお変えいただけないであろうか?別段首相が褒め称えなくとも、国のお墨付きが無くとも素晴らしい宗教ならば素晴らしいだろう。自信をもって布教に励めばよろしいのではないか?たとえば、他の宗教団体に入っている人が首相になってその宗教団体だけを正統とする危険性が回避されるということは、あなたたちの権利を守れるということだ。それが全く念頭に無い。
まぁ、そのあたりが〔宗教と政治の根本的性質の違い〕だろう。冷静さを失っているように見える。


さて、この国の首相の地位は日本国憲法に依拠している。国から国会議員のみなさんにお給料がでるのも憲法があるからだ。しかも、憲法擁護義務を負っているのはシュショー!あなたたちですから(憲法99条参照)。
福岡地裁でも同じ言葉を繰り返していた。「ワカラナイオカシイ」と言いたいのはこちらのほうだ。
この判決の意味が「ワカラナイオカシイ」しか言えないようなら首相どころか立法に携わることすら無理だろう。ワカラナイ人にでもお給料が出るのは憲法のおかげなのにもかかわらず、法律どころか憲法すら理解する能力が無く守れないようなニホンゴノワカラナイ国会議員は全員即刻おやめになったほうがお国のためだ。
法学部を出ていて(もしくは、法律を少しでもかじったことのある人)この判決文の意味が理解できない人は、修士号を返上するしかない。程度の内容なのですがね。
おかしいのは憲法や判決じゃなくてこの国の首相の脳内ですから。

一言よけいに言わせていただくと、こんなにルールを守らない人々を絶対に信用などできないし、「軍事力」の行使を認める九条改正など認めたら何をするかわからないというのが率直な感想。九条でも何条でも守っていて困るから変えるというならわかるが、ハナから守っていない人にもっと勝手きままな自由を与えるのは狂気の沙汰だ。

第二十条【信教の自由、国の宗教活動の禁止】

 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。

 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。

 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない

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Comments

TB ありがとうございました。
記事も読ませていただきました。
専門的な観点からの解説で
なるほど、と思わされました。

そんなわけで
お恥ずかしい限りではありますが、
TB 返しをさせていただきました。
今後ともよろしくお願いします。

Posted by: コウ トカラ | October 02, 2005 at 01:49 AM

ご丁寧にありがとうございます。
全く同感!と思ったので、TBさせていただきました。
憲法というのは国家の最低限のルールを定めた権力を縛るものなのに、軽軽しく破りすぎだと思います。
そのことの意味を全くわからず、自分の信じる宗教を持ち上げるものであれば、嬉々として政治的に利用される人々も軽薄な感じがしてしまいます。
しかも、憲法の定めに従って彼らの権力が認められているにもかかわらず、です。
今後ともよろしくお願いいたします。

Posted by: miyau | October 02, 2005 at 11:35 AM

こんにちは。
先日はTBありがとうございました。
今回の記事も、私が頭の中でモヤモヤ思っていた事を、論理的に専門的にまとめてくださって、本当に「よくぞ言ってくれました!」という感じです。
この総理大臣を支持する一般庶民の感覚が、私には理解できません。
自分たちにしわ寄せが来るのが、どうして解らないんだ!と言いたくなりますよ。
これからも応援しております。

Posted by: ジン | October 02, 2005 at 04:41 PM

ジンさんどうもありがとうございます。
専門的というか、法学部をでるか法律をかじるかすれば、わからないほうがおかしい程度の問題なのですよね(^^;)
それを全く無批判に垂れ流すマスメディアとか専門家面したコメンテーターのほうがおかしいのですよ~。

冷静さを失っている人たちには、自分たちと違う考えや宗教を持っている人(彼ら自身の友人にたくさんいるはずです)のことを少しでも思いやれるように頭を冷やして欲しいです。

小泉首相を支持している人たちは、彼の言葉の意味をもう少し深く考えてもらいたなぁと思います。
自分たちがいかに馬鹿にされているかがわかってハラタツでしょうけどw
わかっている人だけがプンプンしてるのも不平等なのでわかっていない人にも一緒にプンプンして欲しいですよね~。

Posted by: miyau | October 02, 2005 at 08:27 PM

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