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December 2005

December 30, 2005

2005年を振り返る

2005年もあと2日もなくなってしまいました。
このブログを書き始めたのは、2004年3月から、当初は本当に日記で思いついたことを吐き出す感じで人様にお見せできるようなシロモノでもないし、読ませる気もさらさらない状態で書いていた。

大きな転機を迎えたのは、今年の5月頃、私の身の回りも含めて、世の中の人々の思考が奴隷のように支配されていくことへの違和感が最高潮に達した頃だった。そして8月日記としてだけ使っていたブログから問題意識が重なりそうなところにTBを恐る恐る送ってみた。

日々の生活に追われている人々の中で、特に敏感な人がそいうった感覚を共有している状態。戦争にしても国の経済政策にしてもあらゆる場面で弱い者からどんどんと崖っぷちに追いやられている状態がまるでホロコーストのように私の目には映りました。それが、新自由主義という名のご都合主義的なスローガンの塊から生じていることに多くの人々が気づいていないことにも違和感を感じていた。

こうしたホロコースト状態を自分が話をできる身近な人々に対してだけではなく、1人でもいいから解ってもらえないだろうかという気持ちと焦りが最高潮に達して、私はブログを使って発信するという明確な目的を持つに至った。

ブログというツールのいいところは、自分が発信するだけではなく、TBという緩やかな連帯の機能で、右だろうが左だろうが、男だろうが女だろうが、若かろうが年老いていようが、都市にすんでいようが地方であろうが、個々の人々の属性を取り払ったところで、「人」を中心にして考える多くの人々の知識や思考と交流し、自分自身の思考を補い深め、また相手の思考を促すこともできるという知的にエキサイティングな経験を得ることができるところだろう。

発信し、批判に曝される覚悟を持ったこの一歩を踏み出さなければ、もっと世界の現状に絶望していたと思う。

マスメディアを通じて垂れ流される情報の波を冷静な目と暖かい心で読み解き、良い未来を築こうという意思と勇気を持った多くの人々との出会いがあったことは、得がたい経験だ。

人間は、競争だけで生きているのではない。互いに手を携えることで社会も発展してきたし、これからも発展しつづけることは不可能ではない。ただ、そのためには一人でも多くの人々と連帯し、お互いを大切にしていくことが必要不可欠だ。そのためには相互に尊重しあうことも。

血肉の通った人間同士の関わりはどういう人間にでも必要なものだ。格好良かろうが悪かろうが、これからも多くの人々との心の通う交流を通じて自分の思考と行動を磨いていきたい。

そして、あまりゴチゴチに凝り固まらず柔軟に(笑)。人生を楽しむ一つの術としてこのブログを続けていこう。そして、それが何か世の中が良くなる一つの流れとなり、小川となり奔流となったらどれほど素晴らしいだろうか。と夢見つつ。

みなさん今年はほんとうにほんとうにお世話になりました。そして、来年もよろしくお願いいたします。

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December 24, 2005

SNSサイトを使った個人追跡システムに注意せよ

知人の日記で知ったちょっと恐い話。

fladdict.netによると、mixiなどのSNSのシステムを使ってトラフィックの個人追跡システムが可能であるという事実だ。
詳細は、該当サイトに譲る。

対応策としては、①クッキーを有効にしない、もしくは、ログイン時に毎回パスワード等を入力する画面を通ってmixiを利用する②mixiと同時にやばいサイトを開かない。

ということでご参考までに。

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December 23, 2005

映画「ロード・オブ・ウォー」に見る「蝿の王」へのオマージュ

アンドリュー・ニコルをなぜ好きなのか?
おそらく彼が好きなものと私の好きなものが驚くほど一致しているからだろう。
その一つが、ノーベル賞作家ウィリアム・ゴールディングの「蝿の王」(原題:Lord of fly)だ。4102146016
2回映画化され、1990年版はDVDも出ているが、1990年版「蝿の王」は不出来なクソ映画なのであまりオススメしない。小説を読んでもらった人と一緒に観たが、3人が3人とも「小説の深みを表しきれていないダメだ」と言っていた。もし、観るなら小説を読む前がいいだろう。
「蝿の王」はベルゼブブの別名だ。

今回の映画の題名を見たときに何かひっかかった。
それが「蝿の王」だった。

「蝿の王」は、戦争から疎開するための飛行機が銃撃を受け不時着、少年たちだけが無人島に着くところから始まる。導いてくれる「大人」はいない。
15少年漂流記やロビンソークルーソーに出てくる天国のような島。
そこで、少年たちは欲望の赴くままに生きる豚を狩る者達と、お互い助け合い家を建てる者たちに分かれていく。

弟ヴィタリーはラーフやピギーと重なる。「自分の中の獣(犬?)が暴れださないように」との台詞。

そして間違いなくユーリは蝿の王のジャックだ。

バレンタインの名前がジャックなのも蝿の王へのオマージュの現れなのだろう。

バレンタインは、生活からの隔絶を暗示するのか。

映画の構成が、最初のどん底生活から這い上がり成功を治めていく段階でのカタルシス。武器を売りつづけるために嘘に嘘を重ねていくユーリ。立ち直ろうとするヴィタリーを巻き込んで更なる闇に落ち込んでいくユーリ。それと、段々欲望が理性を凌駕し取り込んでいき酸鼻な虐殺に至る「蝿の王」の展開が重なっている。

そして、「蝿の王」では最後に「大人」がやってきてラーフたちをこの世の地獄から救いだしてくれる。
しかし、映画では「大人」は勲章をたくさんつけた軍人だ。救われるのはヴィタリーではなくユーリだ。

現実社会はそこまで絶望的な状況なのだ。アンドリュー・ニコルは金のためにコマーシャルを作っていろんなものを人に売る商売をしてきた。才能に恵まれ、美しい妻を持ち周りからも尊敬されている。権力に楯突く脚本を映画化しようなんて考えなければ、もっと豊かになれるだろう。戦争を売り込む「男たちのダイワ」みたいなプロパガンダ映画を作ってユーリになることもできるのだ。
しかし、彼はそれを潔しとしなかった。「武器商人はいなくならない」と嘆きつつも問題を世に提起する本作品を仕上げたのだ。その覚悟が豪華キャスト他多くの人を突き動かし、世界中でこの映画が上映されることになった。そして、私たちがそれを観ることができた。

人間は、その言葉だけではなく行動で評価される。私はそう信じている。

「ロード・オブ・ウォー」がお気に召した方は、「蝿の王」もご一読ください。「ガタカ」もお忘れなく(はぁと)。

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December 20, 2005

気になるニュース(憲法改悪)

憲法は権力者を縛る法である。立憲主義という場合は形式的・実質的を問わずその核心部分を「改正」することは不可能と考えられている。日本国憲法においては、個人の尊厳、平和主義、三権分立などが憲法の核心部分と考えられている。自民党立党50周年、自民党憲法草案を読むと、立憲主義であるとか個人の尊厳。平和主義、三権分立などを根本から覆す内容となっている。50年体制では社会党を裏で抱き込み、支持率が維持できなくなると選挙制度を小選挙区制にねじまげ、政権にしがみついてきた自民党。公明党という政教分離条項との抵触がかぎりなく黒に近いグレーな政党と連立を組み、「改正」できる範囲を遥かに超えたクーデター草案とも言うべき内容の文章を高らかに発表したにもかかわらず、多くの人々が、都合の悪い事実をゴミ情報の氾濫のなかに隠したマスメディアとの共犯関係によって騙されつづけている。
そう、わたしたちの平和に暮らす権利を裁判によって命令される日本国憲法を暗殺する権力者連合は既に出来上がっている。野党第一党に選んでいる民主党もその中枢を松下政経塾という創価学会と関係の深い政治家養成所から送り出された戦争を知らない軽薄な人物に握られてしまった。裁判所は憲法を守る法の番人の役割を充分には果たしていない。
憲法を守る使命を果すことを国家権力や利益を追求する私的法人にすぎないマスメディアに頼ろうとする「甘え」を私たちは厳に戒めなければならない。憲法を守る最後の砦は私たち一人一人の有権者なのだ。

いまここに個人の尊厳を守るために国権の発動としての戦争を放棄した憲法9条を守ることを、一人でも多くの人々に伝え、理解してもらうための行動に微力ながら参加することを表明する。「9条守ろう! ブロガーズ・リンク」へ賛同します。

前原民主党を抱き込め」小泉純一郎の深慮遠謀(10/31)

「反前原」なら社民へどうぞ 福島氏、離党の誘い
2005年12月14日20時47分

 小泉首相に仕掛けられた「大連立」の次は社民党からの「離党」の誘いか。社民党の福島党首は14日の記者会見で、民主党の前原代表が「集団的自衛権を行使できるように憲法改正を検討すべきだ」などと米国で発言したことに反発しそうな民主党内の勢力に、離党を呼びかけた。

 福島氏は前原氏について「小泉外交と対峙(たいじ)するどころか右(の路線)を行っている」と批判したうえで、「民主党で社民党と似た(集団的自衛権の行使に反対する)考えの人たちに、これでいいのか、と訴えたい。大きく声をあげてほしい。国会内で連携を取りたい」と語った。「社民党に来ていただければ、大喜びで歓迎する」とも。



前原発言、自民との「大連立」に批判続出 民主党大会
2005年12月16日22時42分朝日新聞


全代議員会議に臨む前原代表(左)と鳩山幹事長=16日午後、東京都港区で

 民主党大会が16日、東京都内のホテルで始まり、国会議員や各都道府県の代表者らによる会議が開かれた。前原代表の外遊中の発言や、自民党との「大連立」をめぐり批判が続出。前原氏は、有権者の選択肢となるべき対立軸を示し得ていないことが「民主党の最大の弱点」と認めた上で、党内論議を急いで自民党との違いを明確化する考えを強調した。また、自身の外交・安全保障の戦略ビジョンを提示し、その方向で党の方針をまとめる考えを示した。

 国政選挙で初めて議席を減らし、所属国会議員の逮捕や辞職が続いた後とあって、前原氏は「いろんな意見を言っていただいて最後はまとまった形で戦う姿勢を与党に向けていこう」と強調。その上で、「安易に『小さな政府』には乗らない。人への投資、社会保障、教育、安全の問題にはもっとお金を使うべきだ」と、「小泉改革」との違いを示す考えを示した。

 しかし、質疑では前原氏の訪米中の演説などに批判が集まった。中国の軍事力を「現実的脅威」とした点は、「日中関係を一層ギクシャクさせたとすれば残念だ」(参院議員)。同じ演説で集団的自衛権の行使に踏み込んだことについても「これからの課題なのに、代表だから大きな責任がある」(地方代議員)などと、真意をただす声が上がった。


 前原氏は「党としてフィックス(決定)されたものだけ話すわけではない」と理解を求めた。

 また、小泉首相側が打診した自民、民主両党の連立構想については「民主党の弱体化。3分の2を取った与党のおごりとしか思えない不遜(ふそん)な誘いかけ」と否定、選挙による政権交代をめざす考えを改めて強調した。

 会議終了後、前原氏は記者団に「大変いい議論をしていただいて、党の結束が高まった」と語った。



首相、大連立になお意欲・前原氏にエール 日本経済新聞
 小泉純一郎首相は16日夜、民主党の前原誠司代表が自民党との「大連立」の可能性を否定したことについて「野党の党首としてはそう言わざるを得ない」と述べた。そのうえで「政界は一寸先は闇。ドイツも絶対あり得ないといわれたが、できちゃった」として改めて大連立に含みを持たせた。首相官邸で記者団の質問に答えた。

 前原氏への批判が党大会で相次いだことに関しては「指導的立場に立てば大変だ。苦労を乗り越えて前原さん、がんばってもらいたい」とエールを送った。 (23:27)

憲法9条2項削除、集団的自衛権行使容認も…前原代表

 民主党の前原代表は21日、読売新聞のインタビューに応じ、憲法9条の改正について、「(戦力不保持を定めた)2項は、誰が読んでも自衛隊の在り方を考えると矛盾がある。自分の国は非武装では守れない。(自衛隊のような)実力組織は必要だ。9条2項は削除すべきだ」と述べ、改正が必要との考えを示した。  憲法改正全体については、「かなり慎重にやるべきだ。1回失敗したら相当長い間、できないからだ。ポイントを絞り、国民の理解を十分得る中でやらないといけない」と指摘した。  また、集団的自衛権の行使についても、「米国との同盟を維持するのであれば、行使できるようにすべきだ。(朝鮮半島有事などの)『周辺事態』で活動する米軍に対し、現在は武力行使と一体化する支援はできないが、少なくともこれは集団的自衛権の行使として容認すべきだ」と語り、行使を認めないとする政府の憲法解釈を改めるべきだと主張した。  一方、全国の小中学校で実施している学校週5日制に関し、「(土曜日に授業などを行う)『土曜学校』制度を義務教育全体に広げる。選択制ではなく、実質週6日制にする」と述べ、学力低下を避けるため、見直しが必要だとの見解を明らかにした。(2005年9月21日23時23分読売新聞)

集団的自衛権を限定容認 前原氏、憲法9条改正で

 

民主党の前原誠司代表は18日、憲法9条を改正して「自衛権」を明記した上で、集団的自衛権の行使を限定的に容認すべきだとの考えを表明した。前原氏の持論とはいえ、党首に就いてからの発言だけに、17日の改憲論議を加速させる見解表明とあわせ、党内の旧社会党出身議員らの反発は確実で、あつれきが強まりそうだ。
 また、イラク南部サマワで活動する自衛隊の武力行使について「自衛隊を守ってくれている国が攻撃されても反撃できないという形でいいのか、タブー視せず議論していく」と指摘した。NHKとテレビ朝日の報道番組で語った。
 前原氏は「戦力の不保持」を規定している憲法9条2項を削除し、新たに明記する自衛権には個別的自衛権と集団的自衛権の双方が当然含まれるとの認識を示した。


集団的自衛権議論、馬鹿げている」米国防総省日本部長

米国防総省のジョン・ヒル日本担当上級部長は19日、東京都内で開かれたシンポジウムで講演し、在日米軍の再編に関連して「安全保障上の利益がグローバル化している今の世界では、集団的自衛権(の行使)が憲法上許される範囲を超えているかどうかという議論はまったく馬鹿げたものになる」と述べた。 日本で、政府が集団的自衛権の行使は憲法で許される自衛権の範囲を超えるとの立場と取っていることをめぐり、さまざまな議論が繰り広げられていること自体、世界の実情からかけ離れていると批判したものだ。 在日米軍の再編をめぐっては現在、2月に合意された共通戦略目標の達成に向け、両国間で役割と任務の分担や、兵力構成や配置の再編に関する協議が進められている。今後の展望についてヒル氏は「問題は日本の安全保障に対する姿勢が、新たな任務を引き受けられるように進化しているかどうかだ」と指摘した。 具体的には、昨年12月に発表された防衛計画の大綱などは、自衛隊の役割拡大を明示したことで注目を集めたとする一方で、「驚くべきことは、戦後60年たった今でも多くの日本人がそうした道が適切かどうか疑っていることだ。集団的自衛権の行使につながるのではないかと懸念している」と述べた。 ヒル氏は、安全保障上の利益はグローバル化していると指摘したうえで「いかなる国家の防衛にとっても、集団的自衛権(の行使)が憲法上許される範囲を超えるかどうかという難解で神学論争にも似た議論は、まったく馬鹿げたものになる。なぜなら、自国を防衛できるかどうかの能力は、他国との集団的防衛と不可分に絡み合っているからだ」と語った。(朝日新聞 7月19日)

さらに問題なのは、毎日の世論調査のように摩訶不思議な調査結果が出てくることだ。

<憲法世論調査>9条改正「反対」は62%

 

毎日新聞は憲法問題について、全国世論調査(面接)を実施した。憲法改正に「賛成」と回答した人は58%で、「反対」の34%を上回った。戦争放棄や戦力の不保持を定めた9条については「変えるべきでない」が62%で、「変えるべきだ」の30%の2倍に達した。衆参両院の憲法調査会や自民、民主、公明各党による論議で国民に改憲への支持が広がる一方で、自民党が重視する9条改正についてはなお慎重な国民意識を示した。
 調査は9月2日から4日まで全国の4550人を対象に実施し、2418人から回答を得た。調査方法が異なるため単純に比較はできないが、昨年4月と今年4月の電話調査では、憲法を「改正すべきだ」が6割程度、「改正すべきでない」が3割で、ほぼ同じ傾向となっている。
 男女別では、男性は改憲派62%、護憲派33%であるのに対し、女性は改憲派54%、護憲派36%だった。世代別では30、40代で改憲派が各65%と最も多く、20~60代の各年代で5割を超えた。70代以上では賛成44%、反対40%と拮抗(きっこう)している。
 同時に、9条改正について聞いたところ「変えるべきでない」との答えが男性で57%、女性は67%に達した。「変えるべきだ」は、男性が38%、女性は23%にとどまった。世代別では、20代の70%が9条改正に反対したのをはじめ、30、50、70代以上の各世代で6割を超えた。改正賛成派は40代の36%が最高。
 9条改正賛成派にどの部分を変えるべきかを聞いたところ、戦力不保持と交戦権否認を規定した2項だけを「変えるべきだ」と答えた人が50%と最多。戦争放棄を定めた1項と2項の「両方とも」が35%と続き、1項だけを「変えるべきだ」は13%にとどまった。
 憲法96条の規定で、改憲には(1)衆参各院の総議員の3分の2以上の賛成による発議(2)国民投票で過半数の賛成――が必要。今回の衆院選で自民、公明両党は衆院の3分の2を超える327議席を獲得している。【松尾良】(毎日新聞) - 10月5日3時7分更新

小泉首相、民主に「大連立」打診 前原代表は即座に拒否
2005.12.08(09:26)

小泉純一郎首相が今年9月下旬ごろ、自身に極めて近い人物を通じて自民、民主両党の「大連立」の可能性を民主党の前原誠司代表にひそかに打診していたことが7日、明らかになった。

前原氏が即座に断ったため首相の大連立構想は「幻」に終わったが、衆院選で圧勝し、与党が衆院で3分の2を超える勢力を獲得したにもかかわらず、民主党に連立を持ち掛けた首相の「真意」をめぐって、与野党に大きな波紋を広げるのは必至だ。


関係筋によると、この人物が首相の意向を踏まえて前原氏と会談。
構造改革推進へ強力な体制づくりや将来の憲法改正も視野に、首相が民主党との連立を望んでいることを説明したという。


これに対して、前原氏は政権交代可能な2大政党制の確立が必要との立場から、自民党との連立に応じる考えがないことを伝えた。



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December 19, 2005

政治と社会を考えるTBセンター「Under the sun」

いつもお世話になっている心優しい素敵な人々、「T.N.君の日記」のpantherHさんと「玄耕庵日乗」の素楽さんが政治や社会のことをみんなで気軽に情報交換できる場として「Under the sun」というトラックバックセンターをたちあげました。

民主主義と一口に言うけれど、「お互いを尊重し建設的な議論を積み重ねる」ことは、難しいこと。人を大切にする気持ちと行動が伴わなければ、どんな素晴らしい理念を掲げていたとしても長く継続していくことはできません。

お互いの違いを超えて、人を大切にしたい。その気持ちの一点で共通の問題について情報交換し、お互いの認識を深めていけることを切望します。幅広い人が共存できる社会のモデルとなるようなセンターになるといいなと妄想しつつ。おつかれさまです(^^)
争いお互いの足を引っ張り合うのも人間ですが、お互いの協力・協働があったからこそここまで発展してきました。理想を追求し助け合うのも人間なのです。これからよろしくお願いいたします。

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「LORD OF WAR」最大の死の商人はアメリカ合衆国だ

製作開始の声を聞いてからかなり首を長くして待っていた。楽しみにしていた甲斐がある映画に仕上がっていた。
映画監督は、いい意味でも悪い意味でも「感情」に訴えかけて何かを伝えようとする者が多い。
私にとってアンドリュー・ニコルの作品が他の一般的な映画監督と一線を画しているのは、彼の人間に対する時に皮肉屋で暖かいが、「人間」を観る冷静な眼差しに貫かれている世界観だ。映画を観た人間の心を揺さぶる部分が、「感情」の部分だけではなく「思考を促す」という点が彼の作品を特別なものにしている。
感情を操作する洗脳的なものは心地いい。「感動」という感情の波のぬるま湯に浸ることは、日常から離脱し気晴らしができるからだ。この点もコカインに溺れるヴィタリーについて語るユーリの台詞「気晴らしが依存になるのはどうしてなんだろう」と重なってしまった。
アンドリュー・ニコルの映画を語るとき、人は自分自身について語っている。観た人の語る言葉には、その人間観が如術に現れる。だからアンドリュー・ニコルの映画を語るとき恥ずかしく感じてしまうのはそのせいだろう。他人の映画評についても同様の気恥ずかしさを憶える。しかし、語らずにいられない。聞きたくなってしまう。不思議な魅力を持つ彼の映画に一人でも多くの人に接して欲しいと思ってしまう。

寒風のなか「ロード・オブ・ウォー」を観に行ってきました。「男たちのダイワ」を観るために寒いなか並ばされている人々を横目で見つつオデヲン座の入り口を目指す。
前回の上映時間終了の10分前くらいに劇場に入り、エンドロールが流れるなか場内に。上映終了と共に前から3列目真中に陣取る。そして、ペットボトルのお茶を買い、喫煙所で一服し、携帯の電源を切る。抜かりは無い。どんどん人が増えてきて、9割方席が埋まった時点で、場内が暗転した。

予告編でおなじみの敷き詰められたカラシニコフAK47の向こうに男の後ろ姿。
ニコラス・ケイジの「今世界には5億5千丁の銃がある」の声で映画が始まった。(以下ネタバレを含むので改行する。まだ、映画を観ていない人はお気をつけて)。

そこは、ロシアの銃弾工場。わたしは一つの銃弾になってゆく。そして、出来上がったわたしはパッキングされて港に運ばれ、船に積みこまれた。着いたのはアフリカのとある国、車に積み替えられてさらに奥地に。そして、銃に詰め込まれ、発射された。少年の額めがけて。

平和憲法のもとで、銃の規制も厳しいこの国では、銃によって殺される人は銃が自由に持てる国と比べると遥かに少ない。(年間30人未満 参考:警視庁多発する銃犯罪年間1万人の大虐殺

だが、「戦争犠牲者の9割が銃で殺されている。核兵器じゃない、AK47こそ真の大量破壊兵器だ(ユーリ・オルロフ)」の台詞のとおり。冷戦の終結でわたしたちの世界は平和と民主主義を手に入れることができただろうか。
冷戦の終結によっても戦争の惨禍は繰り返されている。むしろ、武器の貿易がより一層「自由」になり、第3世界での虐殺に使われる銃が安く簡単に手に入るようになっている。
映画のなかでも、ユーリが、息子が初めて立ったことよりも、ソビエト連邦の崩壊を告げることに大喜びしゴルバチョフの顔の映るテレビにキスの雨を降らせていたことがそれを暗示している。

映画は、ユーリと弟ヴィタリー妻のエヴァ、インターポールのジャック・バレンタイン、ベテラン武器商人のシメオン・ワイズを中心に話が進んでいく。


自分のやりたいことが何かを見つけられないヴィタリーは兄ユーリに口説かれ戦友の誓いのもと、武器ビジネスに荷担する。
だが、目の前で自分の売った武器で少年たちが殺される日常。「人を殺す道具を売る」この重圧に、ヴィタリーは麻薬に溺れる。

ジャック・バレンタインは、武器密輸の密告を聞きつけ駆けつけた船の上でユーリと出会う。その後、武器輸出禁止条約違反の疑いでユーリを追いつづける。

美しいエヴァ。ユーリは彼女を手に入れるため、ニセの撮影契約を結びホテルを借り切りあの手この手の「演出」で彼女を射止める。
しかし、女優の道は断たれ夫のことを疑いつつも裕福な生活を送る。

シメオンは、冷戦時代を代表する「武器商人」。ユーリと初めてであったときには超大物で「政治的に意味のあるビジネスしかしない」。
しかし冷戦終結を機に「政治は不要」とするユーリと明暗を分ける。

彼は優秀なビジネスマンだ。武器商人として「法の網をかいくぐる様々な方法」に才能を発揮する。最初は、アフガニスタンで薬莢のチャリンチャリンという音がレジスターに聞こえてしまうユーリに失笑したりもする。
憧れの人エヴァと上手くいくことや幸福な家庭生活を喜ぶ気持ちも憶える。

解放奴隷たちのためにアメリカ合衆国が作った国リベリア。そこでは解放奴隷たちがもともと住んでいた部族を支配・差別したことで、憎しみが憎しみを生み、内戦と独裁、暴力の坩堝と化した国。「武器商人が行ったおかげで戦争が長引いて」いる。
(詳しく知りたい場合は、国境無き医師団のレポートを読んでいただきたい)。
ユーリは、リベリアの独裁者と血のダイヤで取引する。「私は人を殺したことは無い。人が死ななければいいと願っている」と言って憚らないユーリ。
リベリアの独裁者は平気で人を殺す人物だ。彼のことを苦手と思うユーリだが、「人の死を屁とも思っていない」点では全く同じなのだ。
目の前で側近が銃で撃ち殺されても「1回でも撃てば中古品だ!」と言うユーリを見て気に入る独裁者とユーリは同じ目をしている。

バレンタインによって武器商人である事実がエヴァに知られてしまう。両親を銃によって殺された妻の悲嘆。下着も服も血で汚れているから着られない、ここにも住めない。お願いだから武器商人をやめて欲しいと懇願され、ユーリは武器ビジネスをやめたかに見えた。
しかし、彼は独裁者の誘いに乗り彼の「天職」である武器ビジネスに戻ってしまう。今度こそ更生して社会に復帰しようとしていたヴィタリーを巻き込んで。

今度は、独裁者の友人の隣国(シェラレオネか?)のゲリラとのビジネスだ。難民キャンプでの虐殺を目にしたヴィタリーは、自分たちが売った武器で虐殺が必ず起こると悟り、今回のビジネスを取りやめるように兄に懇願する。「誓い合った戦友として」。
しかし、ユーリは耳を貸さない。ヴィタリーは良心の重みに耐え切れず、武器を破壊し、手榴弾で自分もろとも兄ユーリを殺そうとする。
寸でのところで、命拾いをしたユーリ。ヴィタリーが死んでも代金の半分を受け取り、ビジネスを終える。その背後で難民キャンプの住人が殺戮されていく。

この映画は、大量の武器を売る者は大量殺戮をする者と表裏一体の共犯者であることを示している。

「人の命」を考える人々、ヴィタリーの遺体に残った銃弾とエヴァの尾行でユーリはバレンタインに捕まる。しかし、ユーリは釈放される。勲章をジャラジャラつけたアメリカ合衆国によって。
そして、国連安全保障理事会の常任理事国、アメリカ合衆国、ロシア、イギリス、フランス、中国5カ国が最大の武器商人であることを告発して終わる。

人の命が羽毛より軽いことをなんとかしようとした人々が失意する。金と権力というビジネス最優先で人の命をなんとも思わない人間が支配する世界。
「変わらない」「守るために武器をもっと!」と考える人も大勢いる。だが、日本とアメリカの銃による死者を考えれば、武器自体を無くすことでしかこの世界を変える術はないように思う。

争わずにいられない人々が「暴力」以外の方法で解決する世界を築ける日が来ることを願ってやまない。

12月19日追記
それと、「優秀で頭の良い人間」であるユーリのような人間が大勢いるのだと思った。自制心に富み、目的を遂行する能力が優れている。ただ、彼らは感情に左右されること無く「効率的」に人を殺すのだ。

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December 18, 2005

気になるニュース(イラク関連)

米大統領、WMD情報は誤りだった
date:12/15 10:28

アメリカのブッシュ大統領が14日、イラクの大量破壊兵器に関する情報が誤っていたことを認め、戦争に踏み切った自らの責任に初めて言及しました。この発言の裏には、支持率の低下に歯止めをかけたい大統領の思惑があるようです。
この2週間で、4回もイラクについての演説を行ったブッシュ大統領。好んで使った言葉はこれでした。「我々は『勝利』を手にするまで、イラクから撤退しません」
そしてもうひとつの変化は、現実を認めるようになったという点です。
大量破壊兵器などの情報の多くは、結果的には間違っていました。イラク攻撃を決断したことには、大統領として責任があります」(ブッシュ大統領)
さらにこの前の演説では、「イラク人の死者が3万人に上っている」と、今まで決して触れることのなかった数字を口にするなど、現実を認めた上で支持を訴えています。


誤情報でイラク戦争開戦、米大統領「責任負う」と表明

 【ワシントン=貞広貴志】ブッシュ米大統領は14日、ワシントン市内でイラク戦争のこれまでの経緯を総括する演説を行い、「(イラクの大量破壊兵器疑惑に関する)情報の多くが結果として誤っていたのは事実」と述べ、「大統領として戦争に踏み切った責任を負う」と表明した。

 中央情報局(CIA)などによる情報収集の失敗と、それに基づいて開戦したことへの自らの責任について、これまでより明確な形で言及したものだ。

 米国では、CIA工作員情報漏えい事件を機に「意図的な情報操作に基づいて開戦した」との批判が広がっている。大統領の「責任」発言は、政権としても情報判断に誤りがあったことを認めることで、国民の支持をつなぎ留める狙いと見られる。

 同時に大統領は、イラクの元大統領フセインがテロを支援し、開戦前に設定されていた飛行禁止区域を警戒飛行中の米英機の撃墜を命じたなどと指摘し、「サダム・フセインを打倒する私の決断は、正しい決断だった」と改めて開戦の正当性を強調した。

 また、大統領は、イラクに民主主義を打ち立てる道筋を〈1〉主権移譲〈2〉暫定国民議会選挙〈3〉憲法制定〈4〉新憲法下での国民議会選挙――の4段階に分け、これまでの3段階を「イラク国民はすべて達成してきた」と評価した。15日の選挙についても、「スンニ派住民の高い投票率が期待できる」との展望を示した。

 ただ、「選挙後には不安定な日々が待っている。政権の樹立にもしばらくかかるだろう」との見通しも示し、イラク国民と米国民の双方に「忍耐」を求めた。

 民主党などから米軍の早期撤退を求める声が上がっている点については「完全勝利まで退かない」と繰り返した。

 ブッシュ大統領の「責任」発言を受け、民主党のエドワード・ケネディ上院議員は「米国は、戦争をする理由はなかった」と述べ、改めて大統領を批判した。

 今回の演説は、先月30日から2週間で計4回にわたったイラク政策に関する連続演説の最後に当たる。(2005年12月15日13時42分 読売新聞)

と、チェイニーが糸を引いていたCIA工作員氏名漏洩問題に端を発し、とうとうブッシュは「誤った」情報に基づいて、あれだけの残虐行為を行った事実を認めざるを得ない状況に追い込まれている。

そして、女性記者をかばい自国の諜報員が命を落としたイタリアは。

伊軍、イラク派遣の300人を来月撤退へ

 【ローマ=藤原善晴】イタリアのマルティノ国防相は15日、イラクに派遣している同国部隊が現在約2900人で、そのうち約300人を来月、撤退させることを明らかにした。

 ベルルスコーニ首相は先月、派遣部隊を2006年末までに完全撤退させる方針を表明しており、来月の部隊削減も、来年4月の伊総選挙を前に、イラク派兵への世論の反発を弱める狙いがあるとみられる。

 イタリアは今年8月から9月にかけ派遣部隊を約300人削減している。

2005年12月15日23時11分 読売新聞)

そして、われらが小泉純一郎首相は、

「判断に間違いなし」イラク開戦で首相

 小泉首相は15日、ブッシュ米大統領がイラクの大量破壊兵器に関する情報収集の失敗などを認めたことに関連して、「日本は国連(安全保障理事会の)決議に沿って判断したわけだから、(間違ったとは)思わない」と述べ、武力行使を支持した判断に誤りはなかったと強調した。

 そのうえで、「大統領は(開戦の判断は)正しかったと発言している。イラクが大量破壊兵器はないと証明すれば、戦争は起きなかった」と語った。首相官邸で記者団の質問に答えた。

(2005年12月15日21時8分 読売新聞)

ここでも読売新聞は突っ込み無しですな。ボケに突っ込まないで放置するとは一国の首相に対して失礼じゃないの?先日の「理解できない」発言といいこういうヌルいボケをスルーしてくれるのは、ぬるま湯につかっている日本人ぐらいですから!残念!と、冗談はさておき

本稿では詳しくは触れないが、経済力をつけた中国やベネズエラの動きが活発化していることなども含め、世界情勢は、行き過ぎた新自由主義の名を借りたアメリカ帝国主義包囲網が着々と進んでいる。ベトナムでも日本は中国に遅れをとっている。ナショナリストではない私がこういうのはなんだが、「国益」を考える本物ナショナリストならわかるだろう。世論操作だけが得意で外交音痴の政権を安泰にさせていることがどれほど「国益」を損なっているか。

※追記
小泉首相は「大量破壊兵器がないことを証明すれば攻撃を受けなかった」としているが、刑事裁判と同じ条件と考えれば、証明責任は罰を与える側にあることを知らない人が国会議員であること自体が頭を抱えてしまう。記者も知らないのだろうか。法学部を出た人の人口が相当程度いる筈のこの国でと、嘆きたくなる。

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スクラップ@やっぱり嘘だった「大増税」②

さてと、毎日新聞の記事

与党税制大綱:家計圧迫、増税メニューずらり

 与党が15日決定した06年度税制改正大綱は、定率減税の全廃や第3のビール、たばこへの課税強化など家計を圧迫する増税メニューがずらりと並ぶ。新潟県中越地震などで地震被害への不安が広がる中、耐震改修や地震保険の加入を促す減税措置は盛り込まれたが、財政再建という名の下で増税路線が一段と鮮明化した。今回の改正で、暮らしはどう変わるのかを検証した。【三沢耕平、栗田亨】

 ◆定率減税全廃

 景気対策として99年に導入された定率減税は07年に全廃される。05年度税制改正で、所得税分を06年1月から、個人住民税分を同6月から、それぞれ減税幅を半減することは決まっていたが、全廃によって家計はさらに大きな打撃を受ける。

 夫婦と子ども2人のサラリーマン世帯(妻は専業主婦)でみると、年収700万円の世帯は現在、年8万2000円減税されているが、06年からの半減で年間の税負担が4万1000円増え、07年からの全廃でさらに4万1000円の税負担増になる。年収500万円の世帯は現在年3万6000円の減税分が、また年収1000万円の世帯は同17万8000円の減税分が、07年からの全廃で消えてなくなる。独身でも年収500万円のサラリーマンで、同7万6000円の恩恵がなくなる。

 一方、「三位一体の改革」の税源移譲で国から地方へ3兆円の税源を移すため、国税の所得税と地方税の個人住民税の税率を見直す。当初は所得階層によって増減税のばらつきが出ると見られていたが、所得税の細かい税率区分の変更や新控除創設などで、国民負担の増加をゼロに抑えることにした。

 所得税は現在4段階(10、20、30、37%)の税率を5、10、20、23、33、40%の6段階に変え、国は3兆300億円の減税とする。新しい税率区分は、課税所得195万までが5%、330万円までが10%、695万円までが20%、900万円までが23%、1800万円までが33%。

 一方、所得に応じて3段階(5、10、13%)の住民税率は10%に一本化。5%から10%に増税になる世帯が6割以上を占めるため、地方は3兆100億円の増税になる。

 所得税よりも住民税の方が、課税され始める所得額が低いため、例えば、夫婦と子ども2人の世帯(妻は専業主婦)で年収270万~325万円の場合、現在は住民税は払っているが所得税を払う必要はない。こうした世帯は所得税減税の恩恵を受けず、住民税率引き上げ分がそのまま増税になるため、増税分を差し引く控除制度を新設する。

 ◆「地震に強い地域」へ、耐震改修の控除を新設

 今回の税制改正大綱では、新潟県中越地震など国内で震災が相次いでいることを背景に、耐震改修工事や地震保険料の控除制度を新設し、地震に強い地域づくりを税制面からバックアップすることにした。

 耐震改修工事の控除は、地方自治体が定める耐震改修促進計画などの対象地域に限定し、81年の建築基準法改正前に建てられた住宅やマンションなどの所有者に対し、改修費用の1割を所得税から控除する。期間は06年4月から08年末までで、上限は20万円。また、改修費が30万円以上、床面積120平方メートル以内の家屋を対象に、06年から15年までに改修した家屋の固定資産税を最長3年間、半分に減額する。

 地震による家屋などへの被害を補償する地震保険の加入率は04年度末で18.5%にとどまるため、地震保険料を所得税と個人住民税の課税所得から控除する制度を新設。所得税は07年度以降の地震保険料を最高5万円まで、個人住民税は08年度以降、保険料の2分の1を最高2万5000円までそれぞれ控除し、保険加入を促す。

 現行の損害保険料控除は廃止するが、経過措置として06年末までに契約した長期損害保険(10年以上)の控除制度は存続させ、利用者が選択できるようにする。

 ◆第4のビールを阻止

 酒税はこれまでの10酒類を、「発泡性酒類」「醸造酒類」「蒸留酒類」「混成酒類」の4酒類に簡素化した。低税額・低価格で出荷を伸ばしていた第3のビールはビール、発泡酒とともに「発泡性酒類」に分類したうえで増税。大豆やエンドウ豆などを使った既存の原料・製法以外で作る“第4のビール”が登場した場合は、ビールと同税額を適用する。今後、新商品が開発されてもビールと同じ税額になるため、「第4のビールが出てこない税制」(伊吹文明・自民党税制調査会小委員長)といえる。

 06年5月からの新しい税額は、350ミリリットル缶でみるとビールが0.7円減税の77円、発泡酒が47円で据え置き、第3のビールは0.2円か3.8円増税して28円。酒の小売価格は多様化しており、今回の増減税が実際の店頭価格にどこまで影響するかは不透明だ。

 ただ、ビールと第3のビールの税額差は依然大きく、与党は大綱に「(酒類の)税率格差を縮小する方向で引き続き検討」と明記。さらなる見直しもありそうだ。

 一方、たばこ税は現在1本あたり約7・9円の税額を1円引き上げ、03年7月以来の増税になる。マイルドセブン1箱(20本入り)は270円から290円になるが、海外の代表銘柄の小売価格(英国982円、米ニューヨーク市736円)と比べ、日本のたばこはまだまだ安い。

 ◆給与明細、源泉徴収票を電子メールで交付

 企業や官庁で社内LAN(企業内情報通信網)システムなどの普及が進んでいることを受けて、07年1月から民間企業や公務員の給与やボーナスの支払い明細書、源泉徴収票を電子メールで交付できるようになる。

 所得税法は、これまで書面での交付を義務付けていたが、従業員の承諾を条件に電子メールでの交付を認めることにした。電子メール交付で、毎月の給与明細書の仕分け作業など経理事務の負担を軽減できるようになる。確定申告などで書面が必要な従業員が申し出た場合は、従来通り書面での交付を義務付ける。

 電子メールで源泉徴収票や給与明細書を交付できるソフトは数年前から市販され、一部の企業で採用しているが、現在は書面での交付を併用しているという。社内LANを通じて交付する際は、パスワードをかけて本人以外が閲覧できないようにし、確定申告や公的機関への各種申請に必要な場合は、人事部署であらためて交付しているという。【栗田亨】

毎日新聞 2005年12月16日 3時17分

与党税制大綱:政調が税調を押し切る
 

自民・公明両党は06年度税制改正をめぐり、たばこ税を1本当たり1円引き上げることで政治決着した。公明党が求めたたばこ増税に対し、自民党税制調査会(柳沢伯夫会長)は当初、慎重論を展開。しかし、新規国債の発行額を「30兆円に近付けたい」という小泉純一郎首相の意向を踏まえ、自民党の中川秀直政調会長らが財源確保に動いた末、税調の意向が押し切られる異例の決着となった。

 「これまでの論議からすると、大変厳しい話だが、財政収支に役立つことも大事で、たばこ税の税率改正を了承することを認めた」。14日夜の与党税制協議会後、記者会見した柳沢会長は、たばこ税引き上げに不快感を隠さなかった。

 首相は先月下旬、中川氏に「たばこ税は上げてもいいんじゃないか」と指示。これを受けて、中川氏は9日、自民党本部で柳沢氏と会談し、たばこ増税の意向を伝えた。5日には自民・公明両党が児童手当の支給対象拡大で合意、新たに3000億円前後の財源が必要となったことも、中川氏に追い風となった。

 14日の党税調の会合には谷垣禎一財務相が出席し、「首相の指示で国債30兆円に近付けることに全力を挙げている」と述べ、たばこ増税を要請。消費税引き上げ論議で対立した中川、谷垣両氏が共同歩調を取ったことで、最後は柳沢氏も「不本意極まりないが、総合的に決断する」と容認せざるを得なかった。

 自民党政務調査会の一機関となる党税調は従来、政調とは独立した形で、税制論議の主導権を握ってきた。しかし、今回は「税調も財政再建の流れに押し切られた」(自民党農林族幹部)格好で、税調の「独立性」も揺らいだ。

 15日夜、首相は「たばこ(税)はもっと上げた方がやめたい人もやめることができて健康にもいいし、税収増にもつながる」と記者団に語った。【谷川貴史、高山祐】

毎日新聞 2005年12月16日 3時11分

耐震改修の控除だとかたばこ税では、公明党に配慮したんだろう。耐震構造設計偽造の問題で国民に建築業全体に根深くこういった「手抜き工事」で安くあげることに対する不安を抑えることと、自民党自身が大票田のゼネコンへの配慮も伺える。首相の談話は、相変わらず国民を小馬鹿にしたはぐらかし。たばこの煙よりたちの悪い小泉煙幕に記者もやられてないか?

最近某所で話題になっていた、しんぶん赤旗も漁ってみた。

定率減税 07年全廃/消費税増税も 自公が税制大綱/大企業減税は継続・拡充  自民、公明両党は十五日、二〇〇七年からの所得税・個人住民税の定率減税の全廃を盛り込んだ〇六年度税制「改正」大綱を決定しました。サラリーマンをはじめとする庶民にいっそうの増税を押しつける内容です。

 定率減税は、〇五年度税制「改正」で〇六年一月からの半減(個人住民税は同六月)がすでに決定されています。全廃されれば、年収五百万円のサラリーマン四人家族(妻は専業主婦、子ども二人のうち一人は十六歳から二十二歳)では、年間三万五千円の増税になります。

 一方、今年度末で期限切れとなる企業のIT投資促進減税に代わって、情報基盤強化税制を新設。同様に期限切れとなる研究開発減税の2%の上乗せ措置については、研究費の増額分の5%を追加的に税額控除する制度を新設しました。さらに、一九九九年度の税制「改正」で定率減税とともに「恒久的減税」として実施された法人税率の30%への引き下げ(本則は34・5%)については30%を本則とし固定化します。大企業減税を継続・拡充するものです。

 酒税体系の見直しでは、現行の十種類の酒類分類を四分類に簡素化。ビール風アルコール飲料、いわゆる「第三のビール」の税額を最大三・八円引き上げます。たばこ税については、一本一円相当増税することを盛り込みました。

 大綱は、消費税増税について、〇五年度税制「改正」大綱が「〇七年度をめどに、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現する」としていたのを、「実現させるべく、取り組んでいく」と、より強い表現にしました。庶民大増税を宣言する内容となっています。

主張/与党税制大綱/これほど「安易な増税」はない

 自公両党が来年度税制の与党大綱を決定しました。所得税・住民税の定率減税を二〇〇七年に廃止すると明記し、消費税増税は〇七年度をめどに実現をめざすとしています。

 いとも安易に庶民増税を盛り込む一方で、大企業には、来年三月で期限が切れるIT(情報技術)投資減税の代わりに新たなIT減税を創設する気遣いを示しています。

 定率減税と同時に実施した法人課税の税率引き下げ、所得課税の最高税率引き下げはそのままにして、指一本触れようとしない姿勢です。

■納得できない不公平

 政府・与党は「景気回復」を定率減税の廃止の理由にあげています。

 大企業・大銀行は過去最高益を更新していますが、民間給与の総額は下がり続けています。この間、小泉内閣は所得税の配偶者特別控除の廃止や高齢者課税の強化をすすめ、年金保険料、医療費など社会保障の負担増を国民に押し付けてきました。

 定率減税が実施されてきたにもかかわらず、税と社会保険料を合わせた公的負担は増え続け、家計の可処分所得を削り取ってきました。

 庶民の家計は回復には程遠い状態です。依然として家計消費が冷え込んでいるため、定率減税の全廃や消費税増税には日本商工会議所や日本百貨店協会など、経済団体からも反対・慎重意見が出ています。

 財政破たんは深刻であり、多くの国民も財政に不安を持っています。無駄遣いを正すとともに、国の歳入を見直すことは政治の責任です。

 しかし、政府・与党は庶民増税の半面で、空前の利益をかせぎ、昨年末時点で八十二兆円の余剰資金を抱える企業には手厚い減税を継続します。株を動かすだけで大もうけを上げている「錬金術師」の株式売買益には、わずか10%の特例税率を認めています。こんな不公平に納得できるわけがありません。

 異常な財政赤字をつくった原因は自民党の大失政にあります。一九九〇年代に公共投資に湯水のように税金をつぎ込み、軍事費を増やして歳出を膨張させました。大企業・大資産家に減税の大サービスで税制の空洞化を広げてきました。

 財界と大企業の巨大な「既得権益」にメスを入れることなしには財政危機は打開できず、社会保障の財源も生み出せません。

 総選挙で自民党は「サラリーマン増税ありきを『許さない!』」と宣伝し、最近、武部幹事長は消費税増税論に「安易な増税は許さない」と大見えを切っています。これほど空疎な言葉はありません。与党大綱が打ち出したのは「安易な増税」そのものです。

 日銀が十五日に発表した統計によると、この一年で家計の金融資産のうち現金・預金が四・四兆円減り、株式・投資信託が二十九兆円増えました。すでに預貯金のない世帯は二割を超えていますが、庶民の家計が預貯金を取り崩す一方、大資産家が投資によって資産を大幅に積み増している実態が表れています。

■格差広げる政策を転換

 財界と小泉内閣が推進しているのは、貧困と格差をいっそう広げる経済政策・税制です。竹中総務相は賃金は引き続き抑制すべきだと講演。財界代表として政府の規制改革・民間開放推進会議の議長を務める宮内義彦オリックス会長は雑誌インタビューで、社会の階層化は「やむを得ない」と断言しています。

 こうした発想が政府・与党の税制論議の背後にあります。社会を亀裂と荒廃に向かわせる経済政策の転換を求めます。

2005年12月16日12時10分

噂どおりですます調だ(笑)。但し、大企業減税を継続していることを指摘しているのは赤旗ならではなのだろうか。他が「公約違反」とか「大企業に甘い」とかを指摘していないことのほうに問題がある気がする。
日本のジャーナリズムの全体のレベルが(以下略)。


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December 17, 2005

スクラップ@やっぱり嘘だった「大増税」①

与党税制大綱 家計負担ずっしり重く

中国新聞'05/12/16付け社説

 増税路線が一段と鮮明になった。きのう決まった二〇〇六年度の与党税制改正大綱である。定率減税の全廃などで総額二兆円超の増税は、一般納税者にとって多大な負担となる。〇七年度以降の消費税増税にもふれ、政府税制調査会より一歩踏み込んだ。その前に歳出削減の徹底が急務である。増税が景気に影響しないのか、その判断基準も明確にしてほしい。

 税制大綱は具体的な税率や課税対象などの細目を示す。それだけに政府の来年度予算案と税制改正法案に大きな影響力を持つ。増税の主な柱は定率減税の〇七年全廃、たばこ増税と「第三のビール」増税など。サラリーマンなどの一般家計にとっては、ほぼ増税一色の内容である。

 政府税調の答申にもあった定率減税は〇七年の全廃を明示。すでに来年一月からの半減が決まっており、残り半分も廃止される。「経済状況の改善等を踏まえ廃止する」との前提があるが、廃止は決定的だ。

 確かに景気は回復傾向にある。だが、大企業中心に好調な企業業績に比べ、実感として家計まで広がっているとは言い難い。経済情勢を十分に見極め、柔軟な対応を求めたい。

 「第三のビール」と「たばこ税」の増税は新たに盛り込まれた。「第三のビール」増税は、酒類間の税格差を縮小するよう政府税調がボールを投げていた。「たばこ」増税は急浮上した。児童手当拡充の財源確保のためだが、自民・公明両党の妥協の産物とも言えそうだ。

 企業向け減税では本年度で期限切れとなる情報技術(IT)投資促進税制を廃止した上で「情報基盤強化税制」に衣替え。大企業向けの投資促進税制は事実上、存続される。一九九九年に定率減税とセットで導入された法人税率の引き下げは継続される。高額所得者の最高税率についても据え置かれた。

 大企業などの企業収益、設備投資が順調に推移している中で、企業の特別減税を延長するのは理屈が通らない。高額所得者と低所得者の格差は広がるばかりだろう。

 大綱は「危機的な財政状況の中、歳出・歳入一体改革への取り組みは不可欠」と強調する。だが、「取れるところから、しっかり取ろう」との姿勢ばかりが透けて見える。

 注目すべきは、「消費税を含む税体系の抜本改革を実現させるべく取り組む」とし、税率引き上げの議論を本格化する方針を示した点だ。医療制度改革などの動向を見極め、社会保障財源の不足分を埋める本格増税の検討に入るというシナリオ。消費税は低所得者の負担が重い問題もある。十分な配慮が必要になる。

 政府・与党内では消費税の引き上げをめぐり、積極派、慎重派の路線対立が厳しさを増す。公務員削減や特別会計の整理など徹底的な歳出削減に取り組むことが肝要だ。

 一方で本年度の国の一般会計税収が当初見込みより、約三兆円増になる可能性も出ている。景気の回復を映し、法人税収が大幅に増加するほか消費税も増えるためという。

 危機的な財政状況を前面に出すだけでなく、小さな政府像を早く国民に示すべきだ。財源不足を補う帳尻合わせでは展望は開けない。


徹底的な歳出削減はその内容を精査してムダを省くという意味であれば賛成である。
ただ、社説氏は小さな政府」というが、小さな福祉だけが小さな政府なのであれば、この社説の結論部分には賛同できない。小さな政府というスローガンで終わるのが前半の内容からするとかなり勿体無い。


読売新聞社説の場合

12月16日付・読売社説(1)
 [税制改正]「抜本改革へ環境は整備された」

 デフレ脱却のため続けられていた臨時異例の減税措置が、大幅に整理合理化されることになった。消費税率引き上げを柱とする抜本的税制改革に踏み出す環境が整った、と言えよう。

 自民・公明両党が、来年度の税制改正大綱をまとめた。

 所得・住民税では、来年から半減することが決まっていた定率減税を2007年に全廃する。併せて所得税を減税、住民税を増税することで、国から地方へ約3兆円の税源を移譲する。

 それに伴い、所得税率は4段階から6段階に増え、住民税には広範な税額控除が導入される。特定の納税者が不利益を被らないようにするための措置だ。税制の複雑化には、目をつぶりたい。

 法人税では、研究開発税制の上乗せ措置を縮小し、情報技術(IT)促進税制は、大規模な情報システムの構築を促す「情報基盤強化税制」に衣替えする。減税額は大幅に縮小されるが、日本経済が最悪期を脱した今、企業もこの程度の負担増は受け入れるべきだ。

 酒、たばこの税制も見直される。酒税はビール、清酒など10種類に細分化されていた分類を、発泡性酒、醸造酒、蒸留酒、リキュールなど混成酒の4分類に再編し、各分類内の税率格差を縮める。

 その一環として、ビールや清酒は減税し、「第3のビール」やワインは増税する。新たな酒類には分類内の最高税率を適用する。合理化で、節税を狙った不毛な開発競争に歯止めがかかるだろう。

 たばこ税は、1本当たり約85銭増税する。日本は先進各国に比べ、税額が少なく、小売価格も圧倒的に安い。未成年喫煙防止のためにも引き上げが必要だ。

 この税収について、公明党は児童手当拡大との関連を明示するよう主張していた。使途の特定は財政を硬直させるので好ましくない。一般財源とすることで落着させたのは妥当な判断だ。

 税制による地震対策支援は久々のヒットだ。新耐震基準を満たしていない住宅の耐震改修に最大20万円の所得税額控除と固定資産税の減額制度を設け、損害保険料控除を地震保険料控除に改める。

 多くの納税者が制度を活用し、耐震改修が進むことが期待される。ただ、厳正な執行を心がけ、納税者と改修業者が連携した虚偽申告を防がねばならない。

 大綱は、来年から政府・与党が一体となって歳出・歳入の改革を論議すると宣言している。07年度をめどに「消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組む」とも明言している。

 残された時間は長くはない。来年早々から議論を始めるべきである。

(2005年12月16日1時24分 読売新聞)

いけいけどんどん。やっぱりね(苦笑)。読売新聞には小泉内閣への批判は全く期待していませんが、あまりに無批判。新聞社の社員さんたちは広告費でかなり高給取りですから、定率減税の廃止と消費税増税で大打撃を受ける年収1000万円未満の人がどうなろうとしったこっちゃないんでしょうね。読者層はほとんどが年収1000万円未満だと思われます。真っ先に読売新聞を定期購読できなくなるでしょう。

産経新聞社説の場合

18年度与党税制改正大綱 家計ズシリ消費に逆風  与党の税制調査会が15日にまとめた平成18年度税制改正大綱で、定率減税の全廃が正式に決まった。来年からの半減に続き、19年の全廃で、所得税と個人住民税合わせて最大で29万円の実質増税になり、社会保険料を合わせた家計負担は18、19年度で各2兆円にのぼる。景気は回復傾向を示しているが、こうした負担増は今後、個人消費にも影響を与えることになりそうだ。(大塚昌吾)

 財務省の試算によると、社会保険料と合わせた18年度の家計負担は、(1)定率減税廃止の18年度分(1兆6000億円)(2)公的年金等控除の上乗せ部分廃止(2000億円)(3)年金・雇用保険料の引き上げ(4000億円)-などで、今年度より2兆円以上重くなる。

 また、19年度も今回の改正までに決まっているだけで、定率減税廃止の19年度分(1兆5000億円)のほか、年金・雇用保険料引き上げ(4000億円)で2兆円弱の負担増が見込まれる。これにより18、19年度で家計負担はざっと4兆円増える計算だ。

 これを給与収入700万円の夫婦と子供2人の家庭にあてはめると、今年度に比べて月額で3600円、年収500万円の家庭では1800円の負担増になるという。

 このほか、ビール風味アルコール飲料「第3のビール」などの税率が上がる酒税改正に加え、来年7月からたばこ税も引き上げられて1箱約20円値上がりするため、家計を直撃しそうだ。

 一方、たばこ税増税が実質的な財源となる児童手当の拡充は、支給対象が小学校6年生まで引き上げられ、所得制限も年収860万円未満まで緩和される。

 児童の約9割がカバーされることになるため、家計にとって、明るい材料だ。

 所得税収を減らして個人住民税の税収を増やす三位一体改革の税源移譲で、所得税から控除されている住宅ローン減税の効果が目減りしてしまう問題は、負担増につながらないように、個人住民税を減額することが決まり、減税利用者にとっては朗報だ。

 ただ、最大の重荷である定率減税の廃止は、18年の半減、19年の全廃と2段階で増加し、全体で現在よりも3・3兆円の負担増になる。

 今回の税制改正大綱では、17年度改正を踏襲し、経済状況によっては定率減税の廃止を先送りする「弾力条項」が盛り込まれたが、全廃決定自体は公明党からもとくに異論は出なかった。

 政府・与党は「景気は回復基調にあり、消費低下による経済への影響は軽微」との見方を示す。しかし、子供の教育費も増える中堅所得者層に負担増が集中すれば、自家用車の買い替えやデジタル家電など、高価格品の消費抑制が働くことは避けられない。



 ≪住民税10%で一元化 所得税6段階≫
 平成18年度与党税制改正大綱に、国・地方財政の三位一体改革に伴い所得税(国税)から個人住民税(地方税)に3兆円の税源を移譲するための具体的な仕組みが盛り込まれた。

 所得税は10、20、30、37%の4段階の現行税率を5、10、20、23、33、40%の6段階に変更。住民税は5、10、13%の3段階に分かれている税率を10%に一本化した。

 実際に税率が変わるのは所得税が19年1月、住民税は同年6月からで、18年度は暫定措置として所得税の一部を地方に配分する。納税者の負担は基本的には変わらないが、年収1174万円以上の夫婦子供2人の世帯では、最大で年8400円の減税となる。

 一方、所得税が課税されず、住民税だけを負担している年収270万-325万円の世帯は、住民税の税率引き上げがそのまま増税となるため、その分を税額控除する。



 ≪リフォーム減税や保険料控除 地震への備えサポート≫
 与党税制改正大綱では、住宅の耐震リフォーム費の一部を個人所得税から控除する仕組みのほか、地震保険料の控除を所得税と個人住民税に新設するなど、税制面で地震に対する備えを強化した。

 マンションの耐震強度偽装問題が社会問題化し、建物の耐震性に対する不安が高まったことをきっかけに導入を決めた。

 住宅耐震改修促進税制(リフォーム減税)は、耐震基準が強化された昭和56年以前に建てられた住宅について、200万円までの耐震リフォーム費用の10%を所得税から差し引く。

 現在、国の耐震基準を満たす住宅は約8割にとどまるが、政府は今後10年間で9割程度にまで大幅に引き上げる目標を掲げており、今回の改正で目標達成に弾みをつけたい考えだ。

 一方、地震保険はこれまで火災保険とセットで契約するため、所得控除は事実上受けられなかった。

 このため、今回の改正では損害保険料控除を廃止し、地震保険料だけを対象にして、所得税で地震保険料の全額(最高5万円)を、個人住民税で半額(最高2・5万円)を控除する仕組みを導入する。

 地震保険の世帯加入率は2割弱程度。新潟県中越地震などの被害を受け、「自助努力で地震災害への備えを進める必要がある」として、19年度改正で予定される個人所得課税改革の控除の廃止・縮小を前倒しした。



 ≪酒税率格差は微調整 価格改定、業界は不満≫
 平成18年度税制改正で実現した酒税の抜本改正は、課税区分を10から4に減らすなど簡素化への道筋をつけたものの、税率格差の縮小は小幅にとどまり、本格的な見直しは事実上、先送りされる形となった。ただ、わずかな税率変更でもメーカーは価格改定作業を余儀なくされ、何のための改正かという不満が業界などから出ている。

 酒税の改正は、低税率を狙った新商品が発売されるたびに課税を強化するといういたちごっこを、税率格差の縮小で食い止めるのが狙いだ。だが、そのきっかけとなったビールと発泡酒、ビール風味アルコール飲料「第3のビール」をみても、ビールは1缶(350ミリリットル)当たりわずか0・7円の下げ。発泡酒はそのままで、第3のビールはエンドウ豆などを使った種類を3・8円上げたものの格差を縮めたといえない結果となった。

 酒の課税区分の中で最も税率の高いビールは、約1兆6600億円(平成16年度)ある酒税収の半分を占める“稼ぎ頭”。このため、税収を落とさずに酒ごとの税率格差を縮めようとすると、ビールを下げた分、その他のほとんどの酒を上げる必要が出てくる。

 自民党税調にも「第4、第5のビールが出てくると思えない。ビールの税率を下げるため、他の酒を全部上げる必要が本当にあるのか」との慎重論も根強かった。

 また、メーカーによって得意商品や商品の売り上げ構成が違うのに税率調整を大きくすると、特定の商品を優遇し、経営に影響を与える結果となり、税制の中立性に反することも、“微調整”にとどまった理由だ。

 それでも2年前に10円の引き上げで発泡酒の出荷量が急減した経験から第3のビールの3・8円引き上げを懸念する声も業界で出ており、商品戦略の見直しを迫られるケースも予想される。

 無視できないのが、増減税に伴う価格改定作業。メーカー各社は原則的に増減税額を価格転嫁する方向で検討しており、改正の対象となるすべての酒類で新たな価格設定が必要となる。

 とくに多品目を抱えるワインの作業量は膨大。国産、輸入ワインで約27%のシェアを握るサントリーでは2000品目を取り扱うなど、メーカーにとって深刻な問題だ。

 サントリーでは、缶チューハイなどのリキュール類や焼酎、ウイスキーなど、日本酒を除くほぼ全酒類の商品を展開しており、人件費や印刷物制作費などのコスト負担が生じるとみている。小売店では1円未満の端数をどう扱うかという課題も残る。税率調整が小幅にとどまったことで、近い将来に再び改正が行われる可能性もある。コスト削減努力で吸収するのか、価格に転嫁するのか-。来年5月の税率引き上げに向けて、各社は対応を迫られている。



 ≪たばこ倍額になったら半数が「禁煙」 4人に1人は「減らさない」≫
 たばこ1箱(20本入り)の価格が現在のほぼ倍の500円になったら、喫煙者の約半数が禁煙しようと考えていることが15日、民間団体の調査で分かった。来年度税制改正でたばこ税の1本1円の引き上げが決まったばかり。一方で、4人に1人は価格と関係なく「やめない」と答えた。

 禁煙活動を進める「禁煙広報センター」(東京)が今月上旬、全国の20-60代の喫煙男女2000人を対象にインターネットで実施。1980人から有効回答を得た。

 「いくらになれば本数を減らすか」との質問には、1箱500円なら71・5%が少なくすると回答。たばこをやめる価格を問うと、51・2%が500円と答えた。英国並みの1箱1000円まで上がった場合は、それぞれ75・1%、73・4%だった。

 一方で、価格がいくらになっても「減らさない」が24・6%、「やめない」も23・4%で、価格と連動しない根強い愛煙家がいる。禁煙するきっかけについて尋ねると、複数回答で「自分自身の強い意志」がトップで、59・1%。「値上げ」が54・7%、「子供のため」(24・8%)が続いた。1カ月のたばこ代は全体平均で8541円で、40代男性の9549円、50代男性の1万175円など、中高年の男性で高くなる傾向が見られた。


【2005/12/16 東京朝刊から】

産経新聞でさえ(失礼)、大増税の影響を景気に対する懸念を表明していますね。多岐にわたる増税を網羅して丁寧目に解説しております。

日経新聞の場合

定率減税廃止、GDP0.2%押し下げ・経財相が試算
 与謝野馨経済財政担当相は16日の閣議後の記者会見で、与党が税制改正大綱で示した定率減税の廃止は年間の国内総生産(GDP)を0.2%押し下げるとの試算を明らかにした。ただ「この影響は経済全体として吸収できる」と述べ、民需主導の景気回復に水を差す可能性は小さいとの見方も示した。

 また日銀の金融政策を巡って「政府・与党がものを言うのは当然だが、静かな雰囲気の中で理を尽くすことが大事だ」と指摘。東京証券取引所がジェイコム株の誤発注のような取引を無効とする制度の導入を検討していることに関しては「大量の取引に対応するシステムや規則を整備することは当然だ」と語った。 12月16日(15:01)

さらに社説「春秋」でも

社説1 2兆円増税で迫られる歳出の徹底削減(12/16)

 「増税より歳出削減の優先」をうたう与党が来年度に国と地方で約2兆円(平年度ベース)の実質増税となる税制改正大綱を決めた。政府はこれを受けて税制改正の法案を固める。不況期に実施した軽減措置の廃止が中心とはいえ、これだけの税負担増を求めるからには、徹底した歳出削減や政府資産の売却をせずには国民の理解を得られないだろう。

 税制改正の柱は所得税・個人住民税の定率減税の廃止。2006年の半減に続き07年に全廃し、新たに約1兆6000億円の負担増となる。定率減税は景気対策として6年前に始めた。景気が回復した以上、廃止はやむを得ない。ただし景気が悪化する場合は廃止を取りやめるべきだ。 景気対策として03年度に実施し今年度末で期限が切れる特別措置の中で、企業の研究開発税制の上乗せ部分は廃止し研究開発費の増加分の税額控除に切り替える。IT(情報技術)促進税制も廃止し情報基盤強化税制を創設。大企業を中心に軽減額が縮小、つまり負担増となる。

 企業収益の改善を考えれば特別措置の整理は仕方がない。しかし企業の国際競争力の観点からは特別措置整理による増収の一部でも、法人税率の引き下げに充てるのが望ましかった。今後の検討課題だろう。

 酒税は低い税率を適用される新製品の登場を阻むため、全く新しい酒には酒類に応じ1リットル140―220円と比較的高い基本税率を自動的に適用する。企業の開発努力を阻害するのは問題だ。今後はアルコール度数に応じた税率にするなど中立的な税制に衣替えすべきだろう。

 たばこ税を増税して価格を1本につき1円引き上げ、児童手当の拡充に充てる。マイルドセブンは290円となるが、英国の約1000円(20本入り)など欧米と比べ日本のたばこは安い。医療費抑制のためにもさらに増税してよいのではないか。

 大綱には「07年度をめどに消費税を含む税体系の抜本的税制改革を実現させるべく取り組む」とある。消費税増税は避けられない可能性が大きいとはいえ、その前になすべきは歳出削減や政府資産の売却などだ。来年度予算の一般歳出(政策経費)に関する各省庁の概算要求は合計で今年度予算を2600億円上回る。小泉純一郎首相は一般歳出を今年度未満にするよう指示したが、来年度の増税の規模を考えれば、それは当然のことだ。一般歳出とは別の地方交付税も含め、徹底した見直しをしなければ今後の消費税増税もおぼつかない。「歳出削減優先」をかけ声に終わらせないでほしい。

GDPを0.2%押し下げるとの試算。大企業の業績はよく株式市場も活況なのだけれど、まだまだ末端は喘いでいるここで増税するという政策に、橋本内閣の消費税増税の失敗による失われた10年の記憶が生々しく蘇る。
各社とも公約違反に触れていないのが気になる。もうすこし集めてみよう。②に続く。

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国家権力による保護と刑事制裁

立川ビラ配り控訴審判決批判の投書を嗤う というところからTBを頂いて、感じたことを。

「プロ市民」という言葉を使っている時点で、思考停止してしまうタイプの方のようなのですが、その背後に私たちの抱える病理の一つ「不安感」と「依頼心」があるのだろう。
そのブログでのコメント欄での応酬を見ていると、すべてが「わははプロ市民はみんな刑務所に入ればいいんだ」という単純な思考の罠にループしていくのは何故なのかと考えた。

おそらく、彼は国家によって守ってもらわなければならないほど不安に苛まれているのだろう。だから、自宅のポストに「そこの住人と異なる主張の書かれているビラを投げ込まれた」くらいで個人が72日間も拘置所に拘置されることに対して無感覚なのだ。

彼は自分と異なる考えの持ち主と話し合って自分が正しいことを理解してもらえる確固とした自信の裏づけが無い。自分と考えの違う人間が恐くて恐くて仕方が無い。「お母ちゃん助けて」と国家によって助けてもらうことを心から喜ぶのだ。だから自分が属している考えを受け入れてくれない他者に冷酷になり、行った行為からすると重過ぎる「刑事罰」にも目をつぶる。「国家権力が自分に牙を向くことなどありえない」という根拠の無い信頼感からだ。危機意識は皆無の完全なる国家に対する「依存心」。
命がけで憲法を破ると言った戦争が起こっても最前線で死ぬ危険性の全く無い年老いた都知事と似た精神構造だろう。だが、彼は都知事ほどは年老いていないかもしれないし、徴兵制度が出来ても守られるほど上流階級に属していない危険性もあるが。

きっと「思想犯」なんて言葉もお気に召すだろう。自信の無さの裏返しとして他者に対して不寛容だ。そんなに違うことが恐いのだろうか。

残念なことに彼が「果敢」であるのは権力に対してではなく、「自分と思想の異なる、自分を攻撃する危険性も無い弱い個人」なのだ。正直ダサい。屁たれ保守である。

ジャイアンがのび太をいじめている。あなたはどうしますか?「のび太のくせに!」と追い討ちをかけるスネちゃま的人間像だろうか。勇ましい姿勢は弱い者にしか向かっていかない。
私のような個人に対してはいくらでも徒党を組んで畳み掛けてくるだろう。だが、権力者には尻尾をちぎれんばかりに振る。そら、「小泉様に逆らうヤツはみんな刑務所に入ってしまえばいいんだ!」。奴隷の親玉気取りでいても奴隷は奴隷。
自らを思考停止のぬるま湯から「危ないよどんどん温度が上がっているよ」と、引きずり出そうとするおせっかいな奴らにつばを吐きかけ嘲笑うがいい。「俺は幸せな奴隷なのだ。だから権力を批判するなんて『危険思想』を僕ちんに吹き込まないでくれ。吹き込む奴らは容赦しないで、バカにして嫌がらせするぞ!どうだ、まいったか」。醜い。

12月21日深夜追記

もうひとつ、バカTBがきました(苦笑)たぶんこのエントリを読んでいないのでしょう。
世の中にこういう恥知らずが2人はいるんですね。奴隷根性丸出しです(苦笑)
サラ金CMで簡単に騙されないようにおきをつけて。


12月24日さらに追記

また、上記のバカTB1号さんからTBを頂く。
きっと、他のエントリには全く目を通さないから、こんなに馬鹿にされていることに気づかないでTBを送ってくるんだろうね。しかも「国家権力による保護と刑事制裁」にではなく、「生活の平穏と言論の自由」のほうに。法律について多少でも知っていれば関連のあるエントリだって気づくはずなんだけど(笑)。
脊髄反射で長文を書いても、私が大学の先生だったら単位はあげません。定義の理解からして間違っているから。
クリスマスイブに意見の違う人のところにしつこくTBを送ってくることからして失笑を禁じえない。暇だね(笑)
素敵な彼女でも作って遊びにいってくればいいのに(爆笑)

かわいそうな君のために祈ってあげるよ。「来年は素敵な彼女が出来てこんな暇なことしてなくて済みますようにー」ってさ。①だから②もあるんだろうね。私は冷たい人間だから価値無い人にはTB送らない主義。
優しい人が相手してくれるといいね。

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December 13, 2005

コメント欄が無いので(汗)

エントリを一つ立てました。りゅうちゃんミストラルさんの表現ですと、まるで私が法学者のような印象を持ってしまう人がいそうだったので訂正です。私の前のエントリ生活の平穏と言論の自由から行けるリンクで法学者の見解が見られるという意味だと思われます。

私は法学部出身者ではありますが、研究者でも実務家でもないので専門家とは言えませんので念のため。
この問題については在学中に、構成要件該当性を認める判例の構成が間違いのもとだと思っていたことを思い出して書いたものです。構成要件該当性とは、刑法によって罰するべきか否かをまず条文に照らしてあてはまるかどうかの解釈段階についての問題なのです。さらに違法性と有責性が認められてはじめて、刑法犯として認めるという刑法学の基本的な枠組みなのですが、違法性段階の問題として扱うと、集合住宅においては住居侵入罪の射程が実生活からかけ離れて広がってしまうことが今回のような恣意的な判断を許す元凶になるのではないかということを言いたかったので。
説明が足りなくてもうしわけありませんでした。

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December 12, 2005

生活の平穏と言論の自由

自衛隊のイラク派遣に反対するビラを配るため東京都立川市の防衛庁宿舎に無断で立ち入ったとして、住居侵入罪に問われた市民団体の男女3人の控訴審判決が、12月9日に東京高裁であり、中川武隆裁判長は、全員を無罪(求刑懲役6月)とした東京地裁八王子支部の第1審判決を破棄し、罰金刑を言い渡した。3人の被告は即日上告。

自衛隊宿舎ビラ配布、3被告に逆転有罪・東京高裁判決

 自衛隊のイラク派遣に反対するビラを配るため東京都立川市の防衛庁宿舎に無断で立ち入ったとして、住居侵入罪に問われた市民団体メンバー男女3人の控訴審判決が9日、東京高裁であった。中川武隆裁判長は全員を無罪(求刑懲役6月)とした一審判決を破棄、10万―20万円の罰金刑を言い渡した。3被告は上告した。

 判決理由で、中川裁判長は「ビラによる政治的意見の表明が言論の自由により保障されるとしても、管理者の意思に反して建物に立ち入ってよいということにはならない」と指摘。(1)各室玄関前まで立ち入り、抗議を受けても繰り返した行為は相当とはいえない(2)居住者らの不快感などに照らすと法益侵害が極めて軽微とはいえない――として、犯罪が成立する違法性を認定した。

 罰金刑は大洞俊之(48)、高田幸美(32)の両被告が20万円、大西章寛被告(32)が10万円。判決は未決拘置1日を5000円に換算しそれぞれ20日分を刑に算入しており、実際の納付額は大洞、高田両被告は10万円、大西被告はゼロとなる。 (13:35)

法益侵害の定義が問題なのではないだろうか。住居権の問題で言うのであればここでいう管理者はそれぞれの住居。集合住宅の場合は、廊下は共有部分なのでドアの内側となるのが通常だろう。そうでなければ、宅急便の配達ですら構成要件に該当してしまう不当性がある。

居住者の不快感ということだけをあげて、即刑事罰というのも極論にすぎる。「商業的広告であれば不快ではない」というコメントを見かけたが、エロチラシでも不快ではないのだろうか。私はたいへん不快だ。また、新聞勧誘員が自宅に来てドアポストに新聞の広告チラシを入れていったとする。不快に感じる人が警察に電話をしたら勧誘員は逮捕されてしまうのだろうか。今度110番して試してみようか。自分と考えの違う人間はすべて死んでしまえくらいの偏狭な価値観が見え隠れする。

厳格を旨とする刑法の解釈で、可罰的違法性の問題に引きずり込んだ法構成自体が問題ではないのだろうか。
一審では二重の基準を用いて可罰的違法性を問題としているが、法的な保護を与えられるべき(他者を刑務所にぶち込んで国家権力が介入すべき程度)か否かを判断する構成要件自体を厳格に解するべきではないのか。
本来的には構成要件の該当性自体疑わしいと言わざるを得ない。

この判決は、法と常識の狭間で考えようでご指摘のとおり、

小泉政権が有事法制を整備し、いつでも戦争ができる体制を整えようとしており、これに併せて、警察や検察が、政府の方針に反対する市民の言動についても取り締まる体制を整えつつ中で、政治的なビラを配布しようとする行為について、その内容が反政府的な内容であれば取り締まっても良いと認めたことになる。
 これで、ますます、この種のビラ配布行為が刑事事件として立件されて弾圧される世の中になっていくことが強く予想される。
同様の懸念を感じる。

東京高裁が「言論の自由は認められる。政府の見解に反しない限りにおいて」と公言しているのだ。この国の裁判所にとってわたしたち国民の政治的言論はピザーラの宣伝チラシより軽いのだ。

自分の意見と異なるチラシなど決して見たくない人は、独裁者の治めるに住めばいいだろう。権力者に反対するビラなど目に付くところには決してないだろう。デモ行進も見なくて済む。そのような「生活の平穏」に価値を見出せるのであれば。
その背後に私たち自身の他者に対する不寛容がある。他者への不寛容が自分の首を絞めあげている。

立川反戦ビラ入れ事件控訴審判決に関する法学者声明

僕のつぶやき。ネットの窓から。


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December 07, 2005

史上最強のビジネスマン手帳当選

政治ねたと微妙にかぶるんだかかぶらないんだか。個人的には深く関わっていると信じて疑わないのだが。

来週末公開予定の「LOAD OF WAR」の最強ビジネス手帳に応募していたのだが、本日帰宅するとポストに大きな封筒が届いていた。封筒の表に、映画「ロード・オブ・ウォー」グッズ在中とある。
お!当選したらしい。豪華な映画パンフレットとともに黄色い透明ビニールの「史上最強のビジネスマン手帳」が入っていた。

製作開始から楽しみにしていたこの映画。GYAOのオンライン試写会が中止になったので映画に対する期待は飢餓感から高まっている。

死の商人ユーリーの台詞がこの脚本にハリウッドが出資しなかった理由を物語る。
「今世界には5億5千丁の武器がある。ざっと12人に1丁の計算だ。残る課題は1人1丁の世界だ」「戦闘がやめば銃は不要 平和は大損害をもたらす」「最大の武器商人は合衆国大統領だ」。

パンフレットでニコラス・ケイジが語っている言葉「重要なことは、地獄への道は善意によって築かれていて、この悪魔はすばらしい男でもあるということなんだ」。

そう、特殊な犯罪についてではなくもっと大勢の人間を死や破滅の淵に追いやる事象の数々。「耐震設計偽造」でも「イラクでの虐殺」でも「構造カイカク」でも「戦争」でも「人権侵害」でも全ての事象には善良で有能な愛すべき隣人が関わっている。自らが当事者にならない保障などどこにもないのだ。

少しだけ「悪」に目をつぶることで私たちは大量殺戮に荷担しつづけているではないか。

私たちは自らの「ビジネス」や「良心」を問い直し続けなければ「善良」とはいえない困難な時代を生きている。

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December 02, 2005

消費税-大人の授業時間スクラップ

やっと、毎日新聞の消費税特集がアップされていた(私が発見できなかっただけかもしれないが)ので、丸ごと引用しておく。私の書いたエントリよりもわかりやすいと思う。

特集WORLD・大人の授業時間:消費税 安易に上げれば次の手なし

 ◇「増税やむなし」の声高まるが

 「私の任期中は上げない」。消費税について、そう公約した小泉純一郎首相の任期もあと1年足らず。谷垣禎一財務相は税率アップを盛り込んだ法案を07年通常国会には上程すべきだ、との認識も示した。気の遠くなるような財政赤字を抱え、政府与党だけでなく民主党や財界からも「増税やむなし」の声が上がるが、本当にそうなのか。その仕組みと問題点を、立命館大法学部の三木義一教授(税法)に聞いた。【五十嵐英美】

 ◇問い

 消費税は値切れるか? (1)脱税になるのでできない(2)消費税の納税義務は消費者になく、値切るのは自由(3)消費者の代わりに事業者が納める税金を値切ることになり、追徴される。

 答えは(2)。「消費税」という名称から、消費者が負担する税金と思ったら、間違いだ。消費税法は「事業者」に納税義務を課している。消費者は値切ってもいいし、事業者は買ってほしければ値引きして自分で負担すればいい。

 ◇ステップ1・仕組み

 例えば105円の商品を買う時。今の日本の消費税率は5%だから、あなたは「5円は消費税かな」と思って支払うかもしれない。だが、納税義務のない消費者が支払う5円とは、いったい何なのだろう? 三木教授によると「物の値段の一部です。あなたは100円に消費税5円を上乗せして払ったのではなく、105円の商品を買ったに過ぎない」という解説になる。

 消費税は「付加価値税」と呼ばれ、戦後のフランスで発明された。

 どう納められるのか。税率5%の場合、例えば、製造業者が1000円の商品を小売業者に売るとすると、消費税込みで1050円の代金を受け取り、このうち50円を納税する。次に、1050円で仕入れた小売業者。商品に利益1000円と消費税分50円を上乗せした2100円の価格を付けて消費者に売る。小売業者は「売り上げにかかる税(100円)」から「仕入れにかかる税(50円)」を差し引いた50円を納税する。つまり、2100円の商品の消費税分100円は、製造業者と小売業者で50円ずつ負担するわけだ。

 だが、すべての事業者が消費税を納めるわけではない。前々年の課税売上高が3000万円以下の業者は免除。89年の消費税導入の際、事業者の反発などを考慮した特例だったが、05年度の確定申告から1000万円以下に引き下げられる。三木教授は「もうけのなかなか出ない小売業者は、消費税分を自ら負担しているのが実情。今後は滞納も増える」と見る。

 一方で、消費税を免除される取引もある。輸出免税だ。トヨタ自動車を例に取ろう。関東学院大法科大学院の湖東京至(ことうきょうじ)教授の試算では、同社の04年度輸出売上高は5兆5634億円で、同社は消費税免除によって1964億円を還付された形になる。消費税率が2倍になれば、還付額も2倍。国際競争に勝つための制度とはいえ、このところ記録的な利益を上げているトヨタだけでなく、輸出企業の多くは日本を代表する大企業だけになんだか釈然としない。

 ◇ステップ2・税率

 三木教授によると、89年の消費税導入以来この十数年で、所得税と法人税の税収は激減している=グラフ参照。90年度決算では所得税26兆円、法人税18・4兆円だったが、04年度決算では14・7兆円、11・4兆円に減った。逆に消費税は4・6兆円から10兆円に倍増した。「結局、高額所得者や法人の減税分のツケが消費者に回っている。国の財政は本来、所得税と法人税で賄うべきだ」というのが三木教授の持論だ。

 世界の消費税率はどうなっているのか。スウェーデンとデンマーク、ハンガリーが最も高くて25%。欧州連合(EU)各国でも、フランスの19・6%など15%以上となっている。米国は州など地域によって税制が異なる。食料品などは低減税率にしている国も多く、フランスは5・5%、英国は0%にしている。

 高税率の北欧諸国では、その分、社会保障が手厚いとされる。日本もそうすべき? 三木教授は、「財政支出の構造を変えなければ、いくら税制改革をやってもザルに水を入れているのと同じ。税率の検討より、まずどんな社会を作るのかという議論が必要でしょう」と注文をつける。さらに、消費税は福祉目的税化にすべきだという意見もあるが、「消費税を導入した時もそう言っていたが、福祉関連の支出は増えていない。目的税にすると使い道が縛られて財政が硬直化するので、財務省は抵抗するでしょう」と見る。

 ◇ステップ3・増税論の背景

 事業者には、消費税込みで価格を示す総額表示方式(内税方式)が昨年4月に義務付けられた。これについて三木教授は「消費者の税負担の感覚を薄れさせる内税方式への切り替えは、増税への準備といえる」と指摘したうえで「『毎年30兆の赤字を出していいのか』といわれれば、誰だっていいとは思わない。国民の意識は『増税やむなし』になってしまっている」と話す。

 消費税は、1%の税率アップが国と地方の税収の約3%分に相当する「打ち出の小づち」だ。最も徴収しやすく、財政難の政府が税率を上げたいと思っているのは間違いない。だが、高所得者より低所得者の負担が重くなる逆進性という欠点もあり、税率アップはその性格を一層際立たせる。

 最近、派遣労働者が増えているのも消費税と関係があるという。通常、企業が社員に支払う給与は税控除の対象外だが、派遣会社に支払う金銭は給与に該当しない。消費税の課税対象となり、「仕入れにかかる税」として控除できる。企業は経費削減になるため、派遣が増えているというわけだ。「所得格差、貧富の格差が広がっているのは明らか。増税となれば、この傾向はもっと進む。果たして、そんな社会でいいのでしょうか」と三木教授。

 ドイツは9月の総選挙で、優勢が伝えられた最大野党キリスト教民主・社会同盟が、消費税率引き上げ論者の学者を次期財務相に指名したために苦戦を強いられた。「日本の場合は、民主党も既に消費税増税案に乗ってしまっている。安易に引き上げるようでは財政再建の次の手がなくなります。消費税率は際限がないので、100%も可能ですが、納得できるでしょうか……」

………………………………………………………………………………………………………

 ◇特集WORLDへご意見・ご感想を

 ファクス 03・3212・0279

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毎日新聞 2005年11月7日 東京夕刊


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December 01, 2005

この国の「構造的欠陥」

はなゆーさんから【増補版】イタリア国営放送「ファルージャ・隠された大虐殺」和訳 のTBを頂いて改めてイタリアで放送された映像の内容の和訳をじっくり読ませていただいた。今もイラクで殺されつづけている人のために是非一人でも多くの人にイラクでの大量殺戮の実態を知って欲しい。
また、アリジャンさんの裁判で国側の控訴が認められてしまった。しかし、まだ裁判が終わったわけではないもっと多くの人がこのことに関心を持てば日本の恥ずべき難民政策も少しはましになるかもしれないので冒頭で紹介した。


まず、構造計算書偽造の問題については多くの人が語っているのだが、やはり検査機関を「民営化」し「簡素化」した背景に注目したいと思う。

以前「拒否できない日本-アメリカの日本改造が進んでいる」のエントリの冒頭で少し書いたが、著者の関岡英之さんは、阪神大震災が起こった後だから検査が厳しくなるだろうと思っていたが、逆に検査基準が緩やかになったこと、それがアメリカの要求即ち「年次要望書」による「国際基準」に合わせるためと気付いて「年次要望書」に注目するようになったとしている。これにも地震国である実態よりもアメリカの要望を優先するわが国の歪みが現れているように思う。

今回の構造計算書偽造問題では、姉葉建築士やヒューザーの小嶋社長などオモシロオカシイ登場人物が多数いるので人物に目がいきがちだが、私はここでこの国の抱える問題の根源にある「構造的欠陥」とのかかわりを考えてしまう。

ベテランの大工さんが事件の発覚数日前に「私は丁寧に仕事をしているのだけれど、それでもどれほど仕事を丁寧にやったかがわかってもらえず、お客さんがみんな値段のことばかり言うことが多くなった。値段が安い業者はたくさんいるが、私はそんな値段ではできない。適正な値段でやっていても『高い』と言われてしまうのが残念だ」と言っていた。
そのとき私は「安いものはそれなりのものだということを知らない人が多すぎるのでしょう。いい仕事をいくらしてもその仕事を評価できる顧客がいなければ、いいものは作れなくなってしまいますよね。お客さんたちに正しい情報をもっと知らせる必要があるのかもしれませんね」と応えた。
彼は、先日の水害で顧客のところに翌朝には出向き、職人さんたちを総動員して老女2人だけでは到底できない住居の後片付けと行政が視察に来るより先に床を張りなおし屋根の下で眠れるようにした。そういう仕事のできる職人であるにもかかわらず値段だけで評価されているのだ。
多くの賞を受賞している染色師の方も同様に言っていた。「評価してくれる顧客がいなければ、技術は廃れてしまう。私が師匠から受け継いだ素晴らしい伝統の技を、弟子を育て後世に残したいと切望していても、素晴らしい技術とおざなりな大量生産品との区別をつけられる顧客の見る目がなければ腕のいい職人でも経済的に成り立たなくなってしまう」と。

どうやらこの国は「消費者」だけがいて「顧客」も「生産者」もいなくなってしまったようだ。

政治でも同様のことがいえるのではないだろうか。例えば、今回の構造計算書偽造の問題が起こる一つ一つの場面で、正しい情報と優れた目を持つ人々が関わり、間違っていることがあれば恐れず批判し、そのことを多くの人が支え評価したとしたら。

いま、私たちにできることは生きていくうえで直面する様々な事象についてできる限り優良な情報を集め、それを検討し判断すること、そして黙らないことではないだろうか。
思考停止の頚木から自らを解き放ち自らの固定観念を打ち破る。それが私に課せられた一番大きなハードルのように思えるが。良き聴衆、良き顧客、良き評価者。それを個々人が確立する努力のひとつひとつが闘いなのかもしれない。

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