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December 02, 2005

消費税-大人の授業時間スクラップ

やっと、毎日新聞の消費税特集がアップされていた(私が発見できなかっただけかもしれないが)ので、丸ごと引用しておく。私の書いたエントリよりもわかりやすいと思う。

特集WORLD・大人の授業時間:消費税 安易に上げれば次の手なし

 ◇「増税やむなし」の声高まるが

 「私の任期中は上げない」。消費税について、そう公約した小泉純一郎首相の任期もあと1年足らず。谷垣禎一財務相は税率アップを盛り込んだ法案を07年通常国会には上程すべきだ、との認識も示した。気の遠くなるような財政赤字を抱え、政府与党だけでなく民主党や財界からも「増税やむなし」の声が上がるが、本当にそうなのか。その仕組みと問題点を、立命館大法学部の三木義一教授(税法)に聞いた。【五十嵐英美】

 ◇問い

 消費税は値切れるか? (1)脱税になるのでできない(2)消費税の納税義務は消費者になく、値切るのは自由(3)消費者の代わりに事業者が納める税金を値切ることになり、追徴される。

 答えは(2)。「消費税」という名称から、消費者が負担する税金と思ったら、間違いだ。消費税法は「事業者」に納税義務を課している。消費者は値切ってもいいし、事業者は買ってほしければ値引きして自分で負担すればいい。

 ◇ステップ1・仕組み

 例えば105円の商品を買う時。今の日本の消費税率は5%だから、あなたは「5円は消費税かな」と思って支払うかもしれない。だが、納税義務のない消費者が支払う5円とは、いったい何なのだろう? 三木教授によると「物の値段の一部です。あなたは100円に消費税5円を上乗せして払ったのではなく、105円の商品を買ったに過ぎない」という解説になる。

 消費税は「付加価値税」と呼ばれ、戦後のフランスで発明された。

 どう納められるのか。税率5%の場合、例えば、製造業者が1000円の商品を小売業者に売るとすると、消費税込みで1050円の代金を受け取り、このうち50円を納税する。次に、1050円で仕入れた小売業者。商品に利益1000円と消費税分50円を上乗せした2100円の価格を付けて消費者に売る。小売業者は「売り上げにかかる税(100円)」から「仕入れにかかる税(50円)」を差し引いた50円を納税する。つまり、2100円の商品の消費税分100円は、製造業者と小売業者で50円ずつ負担するわけだ。

 だが、すべての事業者が消費税を納めるわけではない。前々年の課税売上高が3000万円以下の業者は免除。89年の消費税導入の際、事業者の反発などを考慮した特例だったが、05年度の確定申告から1000万円以下に引き下げられる。三木教授は「もうけのなかなか出ない小売業者は、消費税分を自ら負担しているのが実情。今後は滞納も増える」と見る。

 一方で、消費税を免除される取引もある。輸出免税だ。トヨタ自動車を例に取ろう。関東学院大法科大学院の湖東京至(ことうきょうじ)教授の試算では、同社の04年度輸出売上高は5兆5634億円で、同社は消費税免除によって1964億円を還付された形になる。消費税率が2倍になれば、還付額も2倍。国際競争に勝つための制度とはいえ、このところ記録的な利益を上げているトヨタだけでなく、輸出企業の多くは日本を代表する大企業だけになんだか釈然としない。

 ◇ステップ2・税率

 三木教授によると、89年の消費税導入以来この十数年で、所得税と法人税の税収は激減している=グラフ参照。90年度決算では所得税26兆円、法人税18・4兆円だったが、04年度決算では14・7兆円、11・4兆円に減った。逆に消費税は4・6兆円から10兆円に倍増した。「結局、高額所得者や法人の減税分のツケが消費者に回っている。国の財政は本来、所得税と法人税で賄うべきだ」というのが三木教授の持論だ。

 世界の消費税率はどうなっているのか。スウェーデンとデンマーク、ハンガリーが最も高くて25%。欧州連合(EU)各国でも、フランスの19・6%など15%以上となっている。米国は州など地域によって税制が異なる。食料品などは低減税率にしている国も多く、フランスは5・5%、英国は0%にしている。

 高税率の北欧諸国では、その分、社会保障が手厚いとされる。日本もそうすべき? 三木教授は、「財政支出の構造を変えなければ、いくら税制改革をやってもザルに水を入れているのと同じ。税率の検討より、まずどんな社会を作るのかという議論が必要でしょう」と注文をつける。さらに、消費税は福祉目的税化にすべきだという意見もあるが、「消費税を導入した時もそう言っていたが、福祉関連の支出は増えていない。目的税にすると使い道が縛られて財政が硬直化するので、財務省は抵抗するでしょう」と見る。

 ◇ステップ3・増税論の背景

 事業者には、消費税込みで価格を示す総額表示方式(内税方式)が昨年4月に義務付けられた。これについて三木教授は「消費者の税負担の感覚を薄れさせる内税方式への切り替えは、増税への準備といえる」と指摘したうえで「『毎年30兆の赤字を出していいのか』といわれれば、誰だっていいとは思わない。国民の意識は『増税やむなし』になってしまっている」と話す。

 消費税は、1%の税率アップが国と地方の税収の約3%分に相当する「打ち出の小づち」だ。最も徴収しやすく、財政難の政府が税率を上げたいと思っているのは間違いない。だが、高所得者より低所得者の負担が重くなる逆進性という欠点もあり、税率アップはその性格を一層際立たせる。

 最近、派遣労働者が増えているのも消費税と関係があるという。通常、企業が社員に支払う給与は税控除の対象外だが、派遣会社に支払う金銭は給与に該当しない。消費税の課税対象となり、「仕入れにかかる税」として控除できる。企業は経費削減になるため、派遣が増えているというわけだ。「所得格差、貧富の格差が広がっているのは明らか。増税となれば、この傾向はもっと進む。果たして、そんな社会でいいのでしょうか」と三木教授。

 ドイツは9月の総選挙で、優勢が伝えられた最大野党キリスト教民主・社会同盟が、消費税率引き上げ論者の学者を次期財務相に指名したために苦戦を強いられた。「日本の場合は、民主党も既に消費税増税案に乗ってしまっている。安易に引き上げるようでは財政再建の次の手がなくなります。消費税率は際限がないので、100%も可能ですが、納得できるでしょうか……」

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 ファクス 03・3212・0279

 t.yukan@mbx.mainichi.co.jp

毎日新聞 2005年11月7日 東京夕刊


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