« 希望を我らに-ヴィゴ・モーテンセンからのメッセージ | Main | ファシズムの最初の犠牲者は「表現の自由」 »

March 18, 2006

「福祉」の心ってなんだろう-映画「石井のおとうさんありがとう」

明治時代「福祉」という言葉すら無い時代に3000人もの孤児を救った男がいた。
その名は石井十次。
「親のない孤児よりももっと不幸なのは心の迷い子、精神の孤児なのです」。
chirashiHP1

山田火砂子監督。現代ぷろだくしょん。昭和7(1932)年、東京生まれ。新宿精華高等女学校を卒業後、舞台女優を経て、映画プロデューサーに。実写版の「はだしのゲン」、「春男の翔んだ空」、「裸の大将放浪記」など数多くの映画を製作・公開した。初の監督作品としては、アニメ映画「エンジェルがとんだ日」がある。これは重度の知的障害者である長女とともに歩んできた半生を題材としたもの。ドキュメンタリーの「るりがくえん物語」。次回作は映画「滝乃川学園」。著書に「トマトが咲いた」がある。これは娘2人を育てながら、映画のプロデューサーとしてがんばってきた、泣き笑いの29年間をまとめたもの。福祉、教育、子育て、平和など幅広いテーマで講演活動も行っている。

山田火砂子監督のインタビューから抜粋してご紹介いたします。

「めったに取れない厚生労働省児童福祉文化財の特薦になったのよ!」現代ぷろだくしょんの事務所は明るい笑顔であふれていました。翌日から渋谷で一般公開というお忙しいなかおじゃましました。

「はだしのゲン」「裸の大将放浪記」などを制作

「現代プロダクション」の山田火砂子さんは、元舞台女優。妊娠中に投与された黄体ホルモンが原因で長女みきさんが知能障害を持って生まれ、苦労するうちに福祉について関心を深め、「自分の得意な方法で世の中を変えよう」と、映画を撮る側になりました。故山田典吾監督と2人3脚で「はだしのゲン」や「裸の大将放浪記」など数多くの社会派の名作を世に送りつづけてきました。

マリのように弾み続けの連続でもあきらめない

「芸名は麻里千亜子。人生もマリのように浮き沈みが激しかったのよ。映画というのは難しくて、ただいい作品を作ればうまくいくものではないの。億単位のお金がかかるしね。ヒットに恵まれないときに、今度は怪しい人が寄ってきて、騙されて不渡りを出して自宅も何もかも取り上げられて、どん底も味わったけど、何がなんでもあきらめなかったのよ。裁判官に自己破産を薦められても、『絶対にイヤ!』と、だだをこねるくらいにね(笑)」。

「愛」を忘れた世の人々に石井十次の思いを伝えたい

「アメリカでもヨーロッパでも大学で必ず福祉のことを教えるの。福祉というのは、同情や恵んでやることではなく、他人を思いやる、愛するということ、あたりまえのことなのよ。日本は障害のある人と健常者が別々に生活しているし、学校も別々だから他人を思いやる『愛』を忘れがちになる。だから殺伐とした世の中になると思うの。だから、日本の福祉の父と呼ばれる石井十次の映画を撮りたかったの」。
明治時代に3000人もの孤児を救った石井十次の心を伝える映画を撮りたいという一心で資金集めから始め、「石井十次に似ているから」と、お願いした松平健さんが石井十次の姿に感銘を受けて快諾。ついに昨年夏に「石井のおとうさんありがとう」が完成。各地のホールで巡回上映していました。
想いのこもった映画は人々の心を打ち、口コミとマツケンサンバの追い風に乗り大ヒット、昨年3月テアトル系での凱旋上映を果たしました。
「世の中を良くするために私もあきらめないで『生涯現役』と思い頑張って映画を撮りつづけています。

現代ぷろだくしょんにおじゃましまして、監督の山田火砂子さんにお会いする機会がありました。
元女優で現役の監督さん74歳(!)とっても元気でキュートなおばあちゃん。だがしかし、「罵声は今日の糧と思え!」と事務所に書いてありました(^^;)。 十次の娘役をしていた女優さんにお茶をいただいて恐縮しながらでしたが、山田火砂子監督のパワーには圧倒されっぱなしでした。

私は、昨年3月渋谷の一般公開を観にいきました。すごく地味な映画なのですが、実在の人物のお話をもとにしているということや、孤児や石井十次を取り巻く人の様々な態度、子供たちの健気さに涙してしまいました。
人の行為を評論するだけの口しか動かさない人々に憤ったりもしました。

予算1億円という低予算映画に、豪華な俳優陣の演技が重厚さを与えていました。

監督の山田火砂子さんは御年74歳なのですが、「世の中を変えるために映画を撮っている。これからも完成させる」とやる気の衰えない姿に石井十次の姿が重なって見えました。

石井十次という人は、福祉の父と呼ばれる人で、福祉という言葉すらない時代に3000人の孤児をひきとって立派に育てた人物だそうだ。「病人は他の人でも治せる。だが、孤児たちには私しかいない」。声なく弱い者に心を寄せ、人生の全てを捧げた姿に感慨を覚えずにはいられませんでした。

教科書に出てくる人には、戦争をたくさんやって人を殺した人とかも多いのだけれど、こいうい人物があまり知られていないのは日本の知識人の怠慢なんだよなーと思う。

新しい歴史教科書とかには、たくさん人を殺した「英雄」じゃなくてこんな人を取り上げてはいかがかな?

上手い映画ではないけれど、いろいろな気持ちがこもっている良作でした。1口1000円の協賛券の普及だけで1億円が集まり、一般公開されるほどのヒットとなったこの作品の不思議な魅力は一見の価値があります。

最初の上映は2004年8月ですから、草の根で驚異的なロングラン上映中です。
「石井のおとうさんありがとう」公式ホームページ


|

« 希望を我らに-ヴィゴ・モーテンセンからのメッセージ | Main | ファシズムの最初の犠牲者は「表現の自由」 »

「映画・テレビ」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/24848/9144385

Listed below are links to weblogs that reference 「福祉」の心ってなんだろう-映画「石井のおとうさんありがとう」:

» 中国の農業に未来はあるか [晴耕雨読]
まず、 中国企業 米国並み巨大アグリビジネスを目指す 持続不能な道に突進!? と題する農業情報研究所の記事から  中国に米国のスミスフィールド・フーズ、タイソン・フーズに比肩する巨大アグリビジネスが登場するかもしれない。サウス・モーニング・ポスト(香港)紙の報道として米国・soyatech.comが伝えるところによると、中国最大の動物飼料生産者であり、酪農・養鶏のメジャーである新希望集団が、今後5年間に50億元(約700億円)を投入して事業を拡張、農業資材供給チェーン管理や下流の食肉加工にも進... [Read More]

Tracked on March 18, 2006 at 08:43 PM

» 共謀罪 [T.N.君の日記]
 秋元波留夫先生の近著「精神医学遍歴の旅路」(創造出版)に、「治安維持法と伊藤千代子」という章があります。先生は元東京大学精神科教授で、その後都立松沢病院において民主的な精神障害者医療に尽力されました。時代に先駆けて「施設から地域へ」を唱えられ、東京・小平市を中心に精神障害者の地域ケアの確立に尽力されている方です。先生は最近今の日本が大正末期から昭和初期の治安維持法が制定されたころに良く似ているという危機感をお持ちで、先人の多くの犠牲の上に築かれた今日の平和の尊さを、戦争を知らない世代に伝えなくては... [Read More]

Tracked on March 19, 2006 at 06:53 PM

» インドの農業と食糧事情 [晴耕雨読]
インドは補助金を使用しない農産物輸出国で構成するケアンズ・グループに属していないからといって、WTO農業交渉に臨んでは決して防衛的な姿勢だけに立っているわけではない。 近年のインドの農業事情を全中の記事から紹介する。 1.農産物輸出国となったインド 1)1960年代の大規模食料危機 インドの農業や食料事情というと、昭和40年代に中高校生だった世代を含めてそれから上の世代のの日本人にとっては、飢えと貧困のイメージが焼きついている。事実、1960年代の半ば、64年に5,900万トンあった米の生産(... [Read More]

Tracked on March 19, 2006 at 11:15 PM

» 中国共産党「日本解放第二期工作要綱」 [晴耕雨読]
メルマガ「台湾の声」の本日号で【日本解放第二期工作要綱全文】日本人が知るべきシナの対日工作と言う記事が届いた。 出所、真贋については確認出来ないが、内容は非常に興味深く本物でないとしても事情をかなり伝えているものと思われる。 メルマガ読者以外の方のにもご参考頂きたく以下に紹介する。 以下國民新聞 中国共産党   「日本解放第二期工作要綱」 より        中央学院大学の西内雅教授(故人)が昭和47年にアジア諸国を歴訪した際、偶然、入手した秘密文書。  内容は中国共産党が革命工作員に指示し... [Read More]

Tracked on March 21, 2006 at 02:40 PM

» 米国BSE牛、ヨーロッパでならパニック?! [晴耕雨読]
米国で今回確認されたBSE感染牛には、見かけ以上に重大な問題が隠されている。 それは、擬似患畜(感染牛と同居し感染の疑われる牛、範囲はここを参照)が全く管理されず、すでに市場に出回ってしまっていたことだ。  擬似患畜にBSEが発見される可能性は、健康な牛の10倍程度かそれ以上だ。2004年、ドイツは検査された1311頭の擬似患畜に2頭、ポルトガルでも1217頭に2頭の陽性牛が発見されている。米国の1牛群に1頭以上の感染牛が発見されるのは「高度に異例」とは保証できない。  しかも、今回のケースは... [Read More]

Tracked on March 25, 2006 at 10:23 PM

« 希望を我らに-ヴィゴ・モーテンセンからのメッセージ | Main | ファシズムの最初の犠牲者は「表現の自由」 »