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March 05, 2006

小さな政府?大きな税金

『PSE法に見る「新自由主義の影」-PSE法に対する署名にご協力お願いいたします』でも少し触れたが、なかなか政府のやることに反対しない「日本税理士会」すら反対するような法案の審議が現在の国会で進んでいることをご存知の方は少ないようだ。

お年よりの増税は、年金控除の20万円、老年者控除50万円、配偶者特別控除のあった人は更に38万円と、国税だけで約11万円少々、住民税や国民健康保険を併せると23万円に及ぶ大増税が「庶民大増税はしません!」と言っていたコイズミ内閣で既にやられているのだが、年収2000万円以内の全ての人にかかわっている増税、私たちの税金が、2割増し「定率減税廃止」も規定のことのように報道されているのが解せない。
消費税増税についても、「私の任期中はやりません!」とか言っていたが既に消費税の「免税点引き下げ」で200万人の中小業者が今年から納税することになっているのは「増税」ではないとでもいうのだろうか?

彼らの言う「小さな政府」実現のために「公務員を減らす」と言っていても、大企業を規制緩和して国民や中小業者の負担を増やしたあげくに管理職的な公務員は「PSE法の検査機関に天下りが山盛り」して民間人になっている。
現場で働く公務員のみなさんはどうなっているかというと、大企業を減税して中小業者から取り立てる消費税を増やしたので事務量が凄まじく増え、それに対応するために「派遣やアルバイト」を増やして労働条件最低ラインの「人件費が増大」しているようだ。

どうあっても庶民の負担ばかりが増えて「三方一両損」などではなく私たちの「一方的大損」でしかないことに気づいていない「善良な市民」のみなさんは、メールが偽者だったことに気を取られて自分のことも省みない。もっと自分より弱い者の事など自宅の台所にいるゴキブリに対してより関心がない。

さて、思いを吐き出して少しすっきりしたところで本題です(笑)。

税理士会までもが大反対する増税法案、それはいわゆる「オーナー課税」。即ち、「特殊同族会社の課税強化」だ。48万の中小業者が大増税にさらされるわけだ。PSE法といいオーナー課税といい、よっぽど中小業者を潰したくて仕方が無いらしい。詳細については、 「税金まにあ」木村税務会計事務所さん(美貌の熱血税理士さん)の「稀代の悪法?平成18年度税制改正「役員給与の給与所得控除相当額損金」やOffice141石井会計事務所「錯乱の税制-サラリーマン法人潰し?」「中小企業48万社が増税に?」をごらん頂きたい。

重要部分を引用すると

● 報道されない影でとんでもない改正が!

去る平成17年12月15日、平成18年度税制改正大綱が発表されました。

新聞やテレビの報道では、税制改正については、納税者全般にかかわること(定率減税、酒税、たばこ税に関すること等)のみクローズアップされていますが、実は、同族会社の経営者を直撃する新設規定が、税制改正大綱の中にひっそりと盛り込まれていました。それが「役員給与の給与所得控除相当額損金不算入」です。

「一定の同族会社のオーナー経営者の役員報酬については、給与所得の概算経費相当額については法人税を課しますよ」という改正です。

平成18年1月17日に発表された税制改正要綱(閣議決定)には、このように書かれています。

--------------------------------------------------------------------------------

同族会社の業務を主宰する役員及びその同族関係者等が発行済株式の総数の100分の90以上の数の株式を有し、かつ、常務に従事する役員の過半数を占める場合等には、当該業務を主宰する役員に対して支給する給与の額のうち給与所得控除に相当する部分として計算される金額は、損金の額に算入しない。ただし、当該同族会社の所得等の金額として計算される金額(※)の直前3年以内に開始する各事業年度における平均額が年800万円以下である場合及び当該平均額が年800万円超3,000万円以下であり、かつ、当該平均額に占める当該給与の額の割合が100分の50以下である場合には、本措置を適用しない。

(※)筆者注…所得の金額と所得の金額の計算上損金の額に算入された当該給与の額の合計額のこと

オーナー課税問題について最大の問題点は、一部の中小業者を狙い撃ちする不平等な税制ということにつきるだろう。キヤノンやトヨタ自動車やオリックスならどれだけ利益をあげても、社長の給料を上げても増税しないが、中小企業が利益をあげるのはけしからんと、税金で弱い者を叩いているのだ。

これについて「東京新聞」は、「オーナー課税 ひずみは放置できない」として税理士会が反対する理由を「税理士の顧客が減ることを懸念しているのではないか、と思わざるをえない」としている。
私もできないくらいの邪推ではないか。

個人事業主やサラリーマンに比べて有利な税制がおかしい。としているのだが、サラリーマンには給与所得控除があるし、青色申告には65万円の特別控除もある。

サラリーマンと違ってオーナーや個人事業主は、事業税や消費税といったサラリーマンには無い税負担も負っていることを忘れてはならない。

そもそも、一人あたり38万円の基礎控除自体が生活しているだけで「担税力あり」としている実態に無理があるということを給与所得控除や青色申告特別控除や白色申告の専従者控除などで重すぎる税金にならないようにしているものなのだ。

いろいろと複雑な税制度をこねくりまわしてきた側が言う「不平等」は、低いほうに合わさられて私たちが損させられる構造に何の違いも無い。

自民党政権を支えつづけてきた中小業者ではあるが、都市に住む大企業勤めのサラリーマンだけを相手にすればいいやという考えの透けて見える「コイズミタケナカ型」の「新自由主義施策」を続けていけば、格差を放置するどころか拡大する気満々の税制度に目を向けなければこの国の格差は「一概に悪いとは言えない」状況を遥かに超えて、個々人の生活の破壊による国内経済や社会の破綻に繋がっていく。

彼らはこれに気づかずにやっているのではない「頑張った人を応援する!」ため?だけにやっているのだ。

あいつが俺より優遇されるのは気に食わない!と平民同士があほな喧嘩をすることで笑う人間は誰か。小異を捨てて手を携えることが未来の鍵ではないだろうか。

未来を考えるTBセンター「Under The Sun」でご一緒に未来を考えてみませんか?

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Comments

同族会社の課税強化について詳しいことはわかっていませんが概観を述べさせてください。

中小企業が自民党の有力支持基盤であったことは周知の事実です。中小企業は規模が小さいということで一律に優遇保護されてきました。それは地方が優遇されてきたのと同じです。

中小企業にも優良企業はあるのに一律に保護されるのは弱者保護としては不完全です。そもそも自然人の保護と違って、法人の規模が小さいことが不利なのであれば保護によっていつまでも市場にとどめておくこと自体の意味があるのでしょうか。


サラリーマンの控除が国際的に見て大きすぎるのは事実でしょう。それはそれとして中小企業も様々な手段で、おそらく税理士と相談をして、なるべく税金を払わないように出来ているはずです。

日本は大企業に比べかなり中小企業には甘い体質であると思います。その格差を小さくする一連の動きが最近見られているだけです。

中小企業としては処遇が悪くなることには断固反対するのはわかりますが、その理由として、大企業より不利になるというような言及は出来ないはずです。

消費税の免税点についても、今までが高すぎて小規模企業を優遇していたものをまともにしようという動きに過ぎません。

規模が小さいからといって弱小とはかぎりませんし、かりに規模が小さいことが弱小につながっているなら規模を大きくするしかないのではないでしょうか。無理に小さい非効率な状態で保護をうけながら生きながらえていくのは周りの迷惑です。

Posted by: カンカ | April 03, 2006 at 01:33 AM

カンカさんコメントありがとうございます。

「効率的」の言葉の一言で、すべての物事を判断するのは誤りです。

少し考えればわかるのですが、人間はいつでも効率よく動く機械ではありません。
生まれたばかりの子供は、周りが助けないと生きていけませんし、年老いても病気になってもそうです。
現時点で最も効率の良いものが、過去・未来においても効率的である保証はどこにもありません。

また、「効率」をお金がもうかるかどうかだけで判断すべきではありません。どんなに効率的に見えても、人が住めない環境や社会になっては本末転倒とは思いませんか。

社会や人間はもっと複雑にできています。

周りの「迷惑」という一言でそれらの人々を切り捨てる考え方には組することはできません。
迷惑を掛けただけで、死んでもいいというような考え方は自分をも殺します。私はいままで生きてきて、迷惑をかけまいと思っていてもかけてしまうことが多々ありましたから。

これが私の考え方です。おわかりいただけると幸いなのですが。

Posted by: miyau | April 03, 2006 at 02:19 AM

今日、連続のコメントで失礼します。

コメント欄を見ていたら、こちらの記事がありましたので、読ませていただきました。「焼け野原の王(PSE法)」「飴と無恥」考という記事でも触れられている、いわゆるオーナー課税ですか。

私も気持ちとして反対なのですが、実は、本質が見えてません(悲)。税務ハンドブックを読まなくなって久しいので。

>「一定の同族会社のオーナー経営者の役員報酬については、給与所得の概算経費相当額については法人税を課しますよ」という改正
は、不平等だからということが原因ではなく、経団連が言う節税対策としての法人成りがおかしいとして、資本金ゼロ円で法人になれるようにしたときからの規定路線だったのではと思っています(とんちんかんなことを書いていたらご容赦ください)。個人事業主が一定の売上を上げるようになると法人成りして節税しましたが、それを汚いと思っていた財界のトップは、その一定までの部分の垣根を壊した上で、いよいよ本当にやりたかった零細優良中小企業への課税強化なのかなと。法人成りがおかしいといっていて、垣根を壊しただけでは、なんか筋が通ってないですものね。優遇されていることを汚いと思っていたんだから、本丸であるその零細優良中小企業への課税強化はされるんだろうなって。

よっぽどむかつくんでしょうね。お金のことしか考えない人たちにとっては。私利私欲で自らの利益のみを追求し、お金で政治を買い、法律まで変えてしまう人たちは。お金のみに執着するのではなく、多種多様な国民のあり方、考え方、努力などは必ずしもお金で換算できるものばかりじゃないし、多種多様な国民の考えや努力という多様性を保持することによって、国家としてのアイデアをみんなで出し合い、助け合い、次のアイデアを生み出す土壌になると思うのです。彼らには、そういった共存共栄によるシナジー効果(相乗効果)を守るためという考えはないように思います。自分さえよければいい。

金だけに執着すれば、優遇されていることにむかつくのでしょうけど、リスク負担が違います。中小企業がどれだけすばらしい技術を持っていても、考えを持っていても、資本力の差から、大企業から比べれば吹けば飛ぶよな存在。すぐさまひねりつぶせる存在です。だからこそ、多様性を考えるときに、リスク負担を考慮に入れて、優遇して守らないといけない。でも、多様性なんかどうでもいい。技術力は金で奪えばいい。市場に任せればいいんだ!日本という国の市場が縮小すれば、世界に出ればいい。そのとき、日本の人が物を買えなくなっても知るもんか。てめえらが努力しないから悪いんだ。金持ちは自由なんだ。世界で設けるぞって。日本だって踏み台。

そんな奴らばかりになれば、日本はつぶれちゃう。そうならないために、私利私欲まみれの経営者の資本集中を是正し、所得再分配を行ってきたのに。虐げられる国民が、騙されて応援してる(笑)。

応能主義と応益主義の議論と同じ、不平等だからという話。この本筋が理解できない現代の国民に対して、やっぱり、教育が間違ってたのかなあと思う今日この頃。私の場合は、教育基本法どおりに教育しなかったから、こんな社会になったんだって思っていますが。世間は違っているようですね。教育基本法が悪かったからこんな社会になったんだって。溝は深い気がします。(長文、しかも支離滅裂で失礼しました)

Posted by: レッツら | April 08, 2006 at 07:19 PM

レッツらさんお返事が遅くなりました。

本当に、「資本主義」ですらない「拝金主義」を嘘で塗り固める人々には怒りを禁じえないですよね。憲法9条をまともに守ってこなかった日本の政府が9条のことを悪し様に言うのと同じ構図ですよね。他の問題でも同様ではないでしょうか。

そのアツイ気持ちの人々が手を携えることが社会だけでなく世界を変えていくのだと思います。

一人一人の人間の命を見ることすらできない心の冷たい人間には、金で左右されない人間がいるということが信じられないのでしょうね。

私のような人間が生きていくにもお金は必要ですし、そのために働いてもいます。
しかし、お金やお金で買えることのためだけの人生なんていくら着飾っても美味しいものを食べても空虚でつまらないと思います。

そう考えている人は大勢いますよね。現に私はお金や自己保身のためでなく、弱い者や社会の未来のために懸命に自分の時間を割いている人たち(レッツらさんも含んで)を知っていますから。

これからも抵抗し続けましょう。

Posted by: miyau | April 10, 2006 at 06:59 PM

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