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March 27, 2006

ファシズムの最初の犠牲者は「表現の自由」

PSE法問題では大勢の国民が騒いだことで、その問題点がより多数の人に告知され、その結果「こっそり」自分たちの天下り先を作るために、製造メーカーに都合の良い法律を勝手に作って周知徹底義務を果たさなかった通商産業省は、反響の大きさに狼狽して少しだけ(メクラマシ的な)譲歩案を出すに至り、その後事実上中古家電製品の販売が可能となっている。坂本龍一さんのひっかかり「やったぞ!!!!!! We've got it (sort of)!!!!!!!」参照。

やはり、あらゆる問題の基本は「正確な情報」が国民にきちんと伝わるということが民主主義の大前提だということが今回の経過からわかる。

たとえ投票や多数決によって決定されていたとしても、少数派の意見を述べる機会が全く保証されていない場合を「民主主義」とは言わないのだ。多数決はあくまで議論したことを前提とした多数決。
少数派の意見を聞く必要が無いのであればはなから議会で討論することなど無意味だ。
これは、「少数派」とはいってもそれが未来永劫「少数派」であるとは限らないことから導かれる。

「コーゾーカイカク」という言葉の定義についての情報を全く与えられずに「コーゾーカイカク」すべきですか?とアンケートを取って、「カイカクすべきです」が多数派となったとしてもそれは民主主義とは呼ばない。
9・11選挙で行われた「ユーセーミンエイカ」だって、その内実をもっと多くの国民が知っていたらあのような結果にはならなかっただろう。

これらのことから民主主義が健全に機能するためには「正確な情報」がきちんと多くの人に知らされることが必要不可欠であるということをご理解いただけるだろう。

そして、権力を握るものにとって都合の悪い情報ほど「大勢に知られたくない」と抑圧されるのが歴史の常。いまこの国で私たちが「知りたい情報」、権力者に都合の悪い情報を知らせないようにしようと国家権力があの手この手を使って画策している。

自衛隊の官舎に入り込みビラを撒いた人々が逮捕され有罪となった事件。これは「イラク派兵」に反対する内容で劣化ウラン弾による被害や、いまではアメリカ合衆国政府自体が認めている「大量破壊兵器」などはなから存在していなかった「偽装」によってイラク侵略を行い、それに全くの無批判に憲法9条を歪めてまでも派兵した事実を知らせる内容のビラだったから逮捕され、有罪判決を受けたのだ。
たかだか、ビラを撒いたくらいで彼らは有罪になったのだろうか。いや、彼らは日本国政府の最も忌み嫌う犯罪を犯したから逮捕されたのだ。一人でも多くの人に「政府に都合の悪い情報」を知らせる罪だ。

そして、読売新聞の記者が脱税事件の報道に関連して取材源を秘匿した問題で、東京地裁が「取材減が公務員で守秘義務違反によって有罪となる可能性が強い場合に限って」ではあるが、秘匿を認めないとする決定を出した。

読売証言拒否:取材源が公務員なら認めない 東京地裁決定

 米国の健康食品会社への課税処分に関する報道を巡り、読売新聞の記者が民事裁判の証人尋問で取材源の証言を拒絶したことについて、東京地裁は14日「取材源が公務員などで、守秘義務違反で刑罰に問われることが強く疑われる場合は証言拒絶を認めない」とする決定を出した。藤下健裁判官は決定理由で「(守秘義務違反という)法令違反が疑われる取材源について証言拒絶を適法と認めることは、間接的に犯罪の隠ぺいに加担する行為」と指摘した。読売側は東京高裁に即時抗告した。

 この健康食品会社とその日本法人は、日米の税務当局の調査を受けて97年に課税処分されたと日本で報じられた。会社側は信用失墜などの損害を受けたとして日本の税務当局に協力した米政府に損害賠償を求めてアリゾナ地区連邦地裁に提訴。報道した日本のマスコミ各社の記者らは国内の裁判所で嘱託尋問され、拒絶に対してはその当否を判断するよう会社側が裁判所に求めていた。

 民事訴訟法は「職業の秘密に関する事項」についての尋問には証言を拒絶できると規定しているため、決定はまず「記者の取材源を尋ねる尋問は原則として職業の秘密に当たる」と認めた。しかし、公務員など守秘義務のある人が取材源だった場合は、民訴法の規定を適用できない「特別な事情」に当たると判断。「開示されれば、以後取材源からの協力を得ることが困難になると予想されるが、それは法令違反行為が行われなくなることを意味し、法秩序の観点からは歓迎すべきだ」とした。

 その上で、会社側が嘱託尋問で求め拒絶された21の質問事項のうち「取材源は誰か」などの質問には拒絶を認めたものの、「国税職員が記事の情報源か」など14の質問には証言するよう求めた。仮にこの決定が確定し、それでも証言を拒めば、民事訴訟法で10万円以下の罰金などの制裁がある。

 同じ報道を巡り、NHK記者の拒絶については新潟地裁が昨年10月、正当と認める決定をしており、司法判断が分かれた。この決定に対しては会社側が東京高裁に即時抗告している。【武本光政】

 ▽読売新聞東京本社広報部の話 特異な判断で、報道を制約し、国民の知る権利を損なう。

 ◇とんでもない決定

 会見した読売側の喜田村洋一弁護士は「とんでもない決定。報道機関の果たす役割をまったく理解していない。この論理が認められると、官庁が広報したこと以外は取材や報道ができないことになる」と批判した。

 ▽奥平康弘・東大名誉教授(憲法学)の話 形式論に過ぎない、訳の分からない決定だ。公務員の秩序を、非常に大ざっぱなレベルで聖域化してしまった。行政を是正するための内部告発の芽を摘み取り、積み重ねられてきた「報道の自由」の歴史を根底から覆してしまいかねない。米国でも昨年、取材源の秘匿を貫いた記者が収監されており、報道活動を抑圧する方向が見える。問題の深さを認識しなければならない。

 ◇国民の知る権利、否定しかねない

 取材源が公務員の場合にはその秘匿を認めないとした東京地裁決定は、従来の司法判断とかけ離れた独自の見解を示した。決定は、取材源が国税当局職員などの場合、国家公務員法などに基づく守秘義務に違反する可能性があることを重視。「法令により開示が禁止された情報について公衆が(知る権利などの)適法な権利を有しているとは言えない」と述べ、国民の知る権利を否定しかねない結論を導いた。

 しかし、この決定は、毎日新聞記者が外務省女性事務官をそそのかして極秘電信文を入手したとして国家公務員法違反の罪に問われた事件の78年5月の最高裁決定に反している疑いが極めて強い。最高裁は記者の有罪判決を支持したものの、「報道機関が取材の目的で公務員に秘密を漏示するようそそのかしたからといって、直ちに(守秘義務違反などの)違法性が推定されるものではない」と判示。その上で「その手段・方法が社会観念上是認されるものである限りは正当な業務行為というべき」と述べている。

 読売側は即時抗告する方針を明らかにしており、東京高裁の審理が注目される。【武本光政】

毎日新聞 2006年3月14日 21時36分 (最終更新時間 3月15日 19時52分)


また、私立大学のキャンパス内で学生などがビラ配布や立て看板の掲示をめぐって逮捕されて、その後釈放されたようだ。ペガサスブログ版参照

法政大学では、中核派の学生が29人も逮捕されたとの報道(産経新聞)を見て驚いたのだが、アッテンボローさんの「法政市ヶ谷弾圧弾劾と支援を訴える」や小泉内閣の支持率が一桁になるまでの「国民の政治に対する発言は自粛すべき?」を読んで、暗澹たる思いがした。

早稲田大学でも同じような事件が起こっている。

この国の民主主義の大前提「表現の自由」は、危機的状況だ。これでは北朝鮮を嘲うことなどできない。
ブログ界が広告メディアとして注目されはじめている今、日本国政府による介入も危惧している。

政治と社会を考えるトラックバックセンター「Under The sun」のアンケート「空母艦載機受け入れの是非を問う、岩国市の住民投票の結果を、国は尊重すべきか?」について、アンケート結果がTBによるものとクリックによるものが逆転していることを不審に思い、送られてきているTBを見ていて気がついた。

なんだこれ?

Commented by ブロガーズ・ディ実行委員会事務 at 2006-03-16 08:43 x トラックバックありがとうございました。

ブログ・ヘッドラインでは、ブログで自己アピールし、リアルで積極的に行動する人をバックアップするために「アクティブ・ブロガー宣言TBキャンペーン」を開催しています。ぜひご参加ください。
http://www.blog-headline.jp/blogger/

発起人の名前にざっと目を通してさらに「怪しい」と得意の邪推が働いた(笑)。

株式会社ネットエイジグループ 代表取締役社長 西川 潔

↑この人ってさ、「カイカク」を止めさせない!!とか言って新自由主義を推進していた「YESプロジェクト」でも見かけたよな。

目的 「投票へ行こう」という呼びかけのためのイベント 日時 2005年9月7日19:00~21:00 場所 グロービス教室(麹町101、102) 〒102-0084 東京都千代田区二番町5-1 住友不動産麹町ビル 定員 200名 会費 無料 主催 「起業家の仲間」Young Entrepreneurs' Society (YES!) スケジュール -スケジュール 19:00~ 発起人代表挨拶 堀義人(グロービス・グループ代表)

19:10~ 第1部パネルディスカッション

モデレータ: 坂野尚子 ( 株式会社ノンストレス代表取締役社長 )
パネリスト: 猪塚武 ( 株式会社デジタルフォレスト代表取締役社長 )
大久保雄一 ( 株式会社デザインアンドデベロップメント代表 )
西川潔 ( 株式会社ネットエイジ代表取締役社長 )
舩川治郎 ( デジット株式会社代表取締役社長 )

20:10~ 第2部パネルディスカッション
モデレータ: 佐藤大吾( NPO法人ドットジェイピー理事長 )
パネリスト: 北川正恭( 早稲田大学大学院公共経営研究科教授 )
鈴木寛( 民主党参議院議員 )
世耕弘成( 自民党参議院議員 )
堀義人( グロービス・グループ代表 )


-その他: 当日インターネット中継を予定しています。

ビンゴ!?スピンドクター世耕だよ!

あーそれでか…ネットを徘徊する世論操作集団?(備忘)で話題になっていた「グス」さんからも「岩国の住民投票なんて軽視していいんだ!国家権力に歯向かうなYO!」というTBが来たり。

Commented by 奈々氏 at 2006-03-21 10:42 x 誰だって、原発、基地、道路、高層マンションなんか来ては欲しくないですよ。日本全国で皆がいやな物を避ければ、多分日本そのものが相当酷い状態になります。 また、町村合併で、すぐ投票そのものが無効になる。外人も投票した。 今回の投票は疑問も多いですね もっとも基地の為被害を受ける人も多いでしょうからどうするかは別の問題です。 沖縄の基地問題でも沖縄の人と実際話すとテレビ新聞の話と違うんですね。

こーんなコメントが来たり矢鱈と※尊重する必要は無いというクリックが増えたりしたのか(笑)。ますます疑っていまいますね。個人的には邪推というか合理的疑いのほうに傾いてきました。だって露骨なんだもん。


他人事と嘲うことなどできないが、まだまだこの国では北朝鮮とは違って逮捕されても殺されたり強制収容所に送られることは無い。なんと幸せなことだろう。逮捕されても餓えて死なない。小林多喜二のように拷問されることもたぶん無いだろう。
マスメディアの「報道の自由」だってわたしたちの「知る権利」「表現の自由」に資するための自由なのだ。
刑務所に入りきれないほどの大勢で「表現の自由」を行使し続けようじゃないか。

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Comments

そぞろ日記さんの記事を読んで勉強したことがきっかけで、
すっかりPSE法にハマってしまったmewでございます。

さて、読売新聞記者のに対する地裁判決の要旨はひどいものでした。
どうもこの裁判官は、ほとんど省庁に出向していたとのこと。
(裁判官や検察官は、法務省をはじめとする各省庁や大使館など
に出向させられることがあるのです。)
そこで、裁判官としてより公務員側のものの考え方がアタマを
支配してしまったように思います。
ただ、これは高裁でひっくり返る可能性が極めて高いと思っています。

Posted by: mew-run7 | March 27, 2006 at 02:32 AM

mew-7さんこんにちは

同様の事件について東京高裁で異なった判決がでていることから、こんな決定はひっくり返る可能性が高いと思います。

マスメディアの問題だけでなくPSEやBSEの官僚にしてもビラ撒いたくらいで実刑科す裁判官にしても国民からの監視の目についての緊張感の無さからなのかな?と思う今日この頃。

PSE法は「新自由主義」「構造改革」「民営化」の基本構造を非常にわかりやすく捉えられる問題なので、おもしろいと思います。
それほど露骨に「多国籍企業の自分勝手主義」「(もっと外資に国を売りやすいように)構造改革」「国有財産私物化」を体現したある意味「小泉構造改革入門」にうってつけといえるから面白いと思います。

この間の動きにしても、PSE法で被害を受ける人々が黙らなかったことと大勢が知って正確な情報が行き渡ると、結構妥当なところに結論落ち着くという民主主義のお手本のような経過をたどりましたし。

民主主義は手間がかかってまわりくどい制度なので面倒くさい側面は否めませんが、ファシズムや独裁より民主主義のほうがやっぱり優れていると思いました。

Posted by: miyau | March 27, 2006 at 12:54 PM

人間を不正に投獄する政府のもとでは正しい人間が住む場所は牢獄である。

っていうH・D・ソローの言葉を思い出しました。

> 他人事と嘲うことなどできないが、まだまだこの国では北朝鮮とは違って逮捕されても
> 殺されたり強制収容所に送られることは無い。なんと幸せなことだろう。逮捕されても
> 餓えて死なない。
> 小林多喜二のように拷問されることもたぶん無いだろう。
> マスメディアの「報道の自由」だってわたしたちの「知る権利」「表現の自由」に資す
> るための自由なのだ。
> 刑務所に入りきれないほどの大勢で「表現の自由」を行使し続けようじゃないか。

全くですね。ちょっとやる気が出ました(笑)

Posted by: 足踏堂 | March 30, 2006 at 12:32 AM

足踏堂さんこんばんわ、コメントいつもありがとうございます。

監獄に行きたいとは思いませんが、脅しにビビって沈黙させられるのは嫌ですものね。
人間としての尊厳というものは、自らも守るものと思っております。

刑務所人口の多いアメリカ合衆国でも、成人男性の2%が刑務所の中ということなので、日本で2%以上の人が行っていることを犯罪化して刑務所に入れるなんていうことは不可能ですし。日本などアメリカに比べるともっと施設収容力が低いですから(笑)。恐れるに足りないですね。
http://www.iser.osaka-ohtake/column/ckeimusho.htm

それだけ格差が低く犯罪圧力も低かったということでもあるのですが、それを投げうつ政策を続けていることに気がつかない人が多すぎるのは不満ですし、知っている人が黙っているのも不満です。

知っている人が黙っていることの大きな理由に暗示されているブラフに負けているか、知ってるつもりだけでほんとうには知らないことがあるように思います。

足踏堂さんがやる気になったのなら、私の駄文も世の役に立っているということかもと思えて嬉しいです。

「あしたは晴れだそうです」で過分なお褒めを頂いて照れくささでにやけてしまいました(笑)。

この国で(政府に反対する)表現の自由を行使することは、他の国ほどは危険ではないことが明白ですから、思う存分本音を書いてください楽しみにしています(^^)。

Posted by: miyau | March 30, 2006 at 09:14 PM

お久しぶりです。

> ファシズムの最初の犠牲者は「表現の自由」

本当にその通りですね!「カイカク」と言われて中身がよくわからないまま多数決をとられる状況、ますます加速化しているようです。それも怖いし、名ばかりの民主主義に次第に慣れてしまうのはもっと怖い。

Posted by: 華氏451度 | March 31, 2006 at 04:16 AM

お久しぶりです、なんて書いて「多分……」と思い直しました。前にもコメント書いたことがあったと思うのですが、間違ってましたらすみません。

Posted by: 華氏451度 | March 31, 2006 at 04:19 AM

華氏451度さんこちらでははじめましてです(^^)

それでも、私も華氏451度さんの記事を拝見させて頂いていますし、Under the sunでコメントも読んでいますから、はじめましてな感じは全くしませんでした(笑)

親近感を持って頂いていると都合よく解釈しましたので、お気になさらないでください。

(政府に異議を唱える)表現の自由は報道の自由よりもっと重いものだということが、この国の報道機関にかかわる人々にももっと意識して欲しいですね。
表現の自由や民主主義を意識していない反映で、自分たちが孤立してしまう危機にあることを自覚すべきです。

Posted by: miyau | March 31, 2006 at 08:26 PM

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