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October 2006

October 26, 2006

野党4党、教基法改正案成立阻止で結束

 野党4党は26日、幹事長・書記局長会談を行い、来週から本格審議に入る予定の教育基本法の改正案の成立を阻止するために、野党4党が結束することなどを確認しました。  「教育基本法の政府案の成立には、すべての政党が反対いたしまして、成立を阻止していかなければならないと」(民主党 鳩山由紀夫 幹事長)

 民主、共産、社民、国民新党の野党4党は、安倍政権が最優先の法案としている教育基本法の改正案の成立を阻止するため、野党が結束して与党と対決することなど、後半国会での共闘を確認しました。

 さらに、日本の核兵器保有をめぐる閣僚発言や、25日夜に下村官房副長官が、従軍慰安婦問題で旧日本軍の関与を認めた河野官房長官談話に疑問を呈したことなどを、閣内不一致として追及していくことで一致しました。(26日17:18)News eye(TBSニュース)より

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教基法成立阻止で一致

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2006/10/26 21:44


 民主、共産、社民、国民新各党は26日午後、国会内で幹事長・書記局長会談を開き、政府が最重要法案と位置付ける教育基本法改正案の成立を阻止し、11月19日投開票の沖縄県知事選で野党統一候補の勝利を目指して共闘する方針を確認した。4党は衆院統一補選で2勝した与党が強気の国会運営に出ることを警戒、対決姿勢を強める構えだ。

 民主党の鳩山由紀夫幹事長は会談後の記者会見で、政府の教育基本法改正案について「安倍政権の教育再生会議設置やいじめ問題などの新しい状況を踏まえれば、拙速に議論を進めるべきではない。4党とも反対だ」と述べた。

 会談では、核保有論議を排除しないとする麻生太郎外相と、従軍慰安婦問題で旧日本軍の強制を認めた河野洋平官房長官談話の前提となる事実関係の再調査に言及した下村博文官房副長官の責任を追及することで一致。同時に(1)格差社会(2)官製談合(3)村上ファンドへの投資で利益を得た福井俊彦日銀総裁の責任-を質疑でただす方針も確認した。

 防衛庁「省」昇格法案については社民、共産両党が反対を表明。民主、国民新両党は内容そのものには反対せず、防衛施設庁の談合事件などを理由に「現時点での省昇格は不適切」と主張したため、野党共闘の対象とはしなかった。
神戸新聞ニュース

動画(日テレNews24より)

共謀罪の問題でも民主党が反対の立場を鮮明にしたからこそ、自公政権が強行できずにいるのだ。教育基本法改悪や防衛省昇格問題でも、野党第一党として多くの国民の期待に応えて反対を貫いて欲しい。
来年の参議院選挙でも足並みを揃えて、野党共闘で悪法を阻止して欲しいものだ。野党の共闘が実現した沖縄知事選挙と国会情勢に注目したい。

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「不 安倍 増」内閣カット先行公開

Under the Sunの連載コラムに「再出発日記」のくまさんのおともだちが書いたカットがおもしろいと紹介されていました。安倍晋三の「安倍」を安部だの阿部だの安陪だの阿倍だのと誤変換する人が多いことに目をつけて、安倍と漢字を間違えないように「不 安倍 増」内閣と覚えればよいとの内容に大爆笑。

ただ、カットを取り出す方法とエキサイトにアップする方法がいまいちわからないということだったので、取り出しにご協力いたしましたー。

そこで役得!卑怯にも弊ブログにて先行公開いたします。
どうぞ!ごらんあれ。
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October 25, 2006

共謀罪は先延ばし…でも教育基本法は審議入り

「共謀罪」創設、今国会成立を断念…重要法案を優先(読売新聞)ということで、共謀罪はとりあえず今国会では成立を断念することになったようだ。

ただ、共謀罪の新設については、※さまとの約束があるらしいので予断は許さない。何か簡単なことだけでもアクションを起こしたいという方は、グリーンピースの「Say ”NO” to 共謀罪 サイバーアクション」HPから簡単に各政党などに共謀罪反対のメールを送れるフォームがあるので利用してはいかがだろうか。

しかし、共謀罪は今国会で見送りということにはなったが、子供たちの憲法である教育基本法は審議入り。
教育基本法改正案、30日に今国会での実質審議入り(読売新聞)

教育基本法が悪い法律だから、以下のような下品な発言をする「美しい」大臣が生まれたのだろうか?

中川政調会長:「日教組の一部、免許はく奪だ」と批判

 自民党の中川昭一政調会長は毎日新聞のインタビューで、教員免許の更新制度に関連して「日教組の一部活動家は(教育基本法改正反対の)デモで騒音をまき散らしている」としたうえで「下品なやり方では生徒たちに先生と呼ばれる資格はない。免許はく奪だ」と述べ、教員の組合活動を強く批判した。

 今国会の最重要課題である教育基本法改正案の審議が25日にも再開することを念頭に、成立阻止を掲げる野党や日教組をけん制したものとみられる。こうした姿勢に対して、野党側は「教育を政争の具にしようとしている」(民主党の松本剛明政調会長)と反発しており、激しい論戦が展開されそうだ。


衆院補選勝利でも問われる安倍自民党の品格(livedoorニュースPJオピニオン)

【PJニュース 10月24日】- 22日に投開票が行われた衆議院議員の2つの補欠選挙は、神奈川・大阪ともに自民党が勝利した。安倍政権が発足して初めてとなる国政選挙での勝利で、首相周辺はひとまず胸を撫で下ろしているところであろう。だが、小選挙区制度の下で自民・公明両党が連携した選挙であったことや、政権の真価を問うにしては余りにも低い投票率であったことを考えれば、そもそも与党側が勝利して当然の選挙だったのであり、これで「安倍政権が信任された」と喧伝するのは我田引水、論理のすり替えであろう。

 党役員人事と組閣の段階から「仲良しグループを集めた」とか、「軽量内閣」などと、野党側からの陰口も聞かれる安倍政権であるが、ここへ来て自民党の中川昭一政務調査会長の暴言が目立っている。各種メディアの伝えるところによれば、中川政調会長は20日、静岡県浜松市で講演し、北朝鮮が日本に核攻撃をする可能性について「北朝鮮はミサイル実験や核実験を行い、拉致事件を起こした。北朝鮮の指導者は、ごちそうばかり食べ過ぎて糖尿病だから、そうしたことを考えるかもしれない」と発言したうえで、日本の核保有の必要性を含めた安全保障のあり方を議論すべきだという見解を示したという。

 この発言には、4つの重大な問題がある。一つは、糖尿病は「ごちそうばかり食べ過ぎた結果かかる病気」という認識を示している点。非科学的であるばかりでなく、糖尿病に苦しむ患者への偏見を助長する発言である。第2に、「糖尿病だから、核攻撃をしようと考えるかもしれない」というロジック。「糖尿病患者は何を考えだすかわからない」というのは、もはや偏見を超えて「虚偽情報のねつ造」にも近い。3つ目は、そもそも北朝鮮の指導者が糖尿病患者であるかどうかという前提が、中川氏の憶測ないし比喩の部類なのであって、客観的事実に基づくものでないこと。そして、最後に、こうした無責任な事実認識と偏見の上に立って、「日本の核保有の議論」を推進すべしという結論を導き出そうとしていることである。

 また、毎日新聞が23日に報じたところによると、中川政調会長は毎日新聞のインタビューに対し、教員免許の更新制度に関連して「日教組の一部活動家は(教育基本法改正反対の)デモで騒音をまき散らしている」としたうえで「下品なやり方では生徒たちに先生と呼ばれる資格はない。免許はく奪だ」と述べ、教員の組合活動を強く批判したという。「デモ」を下品と言ってしまうところに、中川氏の政治的センスがある。教職員が労働者としての権利を主張したら、生徒たちに先生と呼ばれる資格がなくなるのだそうだ。

 さて、この中川氏であるが、元来、彼のの酒浸りは、マスコミの政治部系記者の間では有名な話だと聞く。私の知人で、長年、国会担当経験がある記者も同様の話をしていた。農相時代の中川氏の記者会見は、目が血走り、吐く息が酒臭かったこともたびたびで、発言の暴走には“酒のせい?”と感じることが多かったそうだ。ところが、ちょうちん記事の作成を強要されることに慣れ切っている大手マスコミの記者諸氏は、こうした事実を国民に知らしめるような記事の執筆には、どうやら及び腰のようである。

 安倍政権が彼を党の政調会長に据えたのは、自民党総裁選での論功行賞やタカ派仲間としての意識によるものと推察するが、このまま現職閣僚にしておくのは危険だと考えて党三役にまわしたと見ることもできなくない。それでも、こうした人物を党三役に入れることを是とする安倍政権は、やがて政権自体の品格を問われることになろう。「美しい日本」は酒臭く、政治家の暴言が飛び交っても首相がすべて容認する国となるのか。中川政調会長が「下品な発言」で重要ポストの資格を失ったり、国会議員の先生と呼ばれなくなったりしないようご忠告申し上げるとともに、合わせて中川氏がいつの日か糖尿病になどならぬようお祈り申し上げたい。【了】PJオピニオン

同感。改められるべきは教育基本法ではなく、見識のかけらもない暴言を撒き散らす大臣の考え方と、それを許す自民党・公明党の「品性」であろう。私が子供ならばこういう人に「美しい」日本人になれとか言われたらグレたくなるけどね。

日本国憲法に認められている表現の自由の権利を行使するだけで「下品」「騒音」と断言するのは上品で美しい日本伝統の考え方に沿っているのだろうか。もしかしたら、デモで声をあげるくらいでは生ぬるい騒音である。「愛国者」ならば黒塗りの街宣車で大音量でがなりたてるのでなければ「美しい」とはいえないと考えているのかもしれませんね。

私は、(顔の美醜の問題ではないですよ。決して不細工を差別するものではありませんので悪しからず)自分の顔をでかでかと広告するような人に「品性」とかはあんまり感じなられいのですが、「日本人としての美意識」というものは、このようなものを「美しい」と感じなければ、「非国民」と罵られるようなものなのでしょうか。おぞましい。あ、これは「アパ晋会」の美意識でしたか。こんな「美しい人」にはなりたくないなぁ。Apa2


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October 22, 2006

日米政府の共謀を隠蔽?黒塗りの公電は雄弁に語る

さて、塗りつぶしたり隠したりするのは、みんなに知られては困ることが書いてあるから。隠す必要があるからだ。
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共謀罪の強行採決の情報がネットを駆け巡っている。さて、共謀罪についてのテレビはほぼだんまり。東京新聞の審議入りの可能性を示唆する記事と、ネットでの法務省と外務省対日弁連の論争を取り上げた記事以外は見当たらず、マスメディアも今のところはあまり報道に乗り気じゃないようだ。
共謀罪については、対象とする犯罪があまりにも多すぎ、国民の内心の自由を抑圧する内容となっているので私は反対している。率直に言うと、密告を奨励する法律などいらない。
情報流通促進計画のヤメ記者弁護士(ヤメ蚊さん)からも重要なTBをいただいていた。ヤメ蚊さんのところから転載熱望の記事をご紹介するとともに、丁寧だがやや分量の多い文書を読み下すヒマの無い人向けに、海渡雄一弁護士の「共謀罪を強行採決してはならない7つの理由-国連条約批准のために共謀罪導入以外に選択肢はある」を自分なりにまとめてみた。

〔前提問題〕
共謀罪の新設について政府は、組織犯罪条約5条の国内法化に必要だからという説明をしてきていたので、「条約の批准には絶対に共謀罪新設が必要だ」ということを前提に論議されてきたのだが、2006年6月の政府与党による民主党案の丸呑み事件をきっかけに、民主党案丸呑みでいいとすると、そもそも共謀罪の新設が必要という前提自体に嘘があるのではないかという疑いが大きくなった。
① 組織犯罪条約の批准にあたって共謀罪などの新設をしている国は非常に少ない。
② 国連立法ガイドでも条文どおりの共謀罪の新設を求めていない。
③ 日本政府も最初は国内法を多数新設する必要の少ない行為参加罪を検討していた。
④ 5条の起草の経過で日本政府が方針転換をした理由が説明されていない。法務省は処罰の範囲が不当に狭くなるからと言っているが、イギリスを見る限りそうとはいえない。
⑤ 国会審議に不可欠な第2回第7回の起草委員会の記録が開示されていない。(←ここが上掲左側黒塗りで隠蔽されている部分である)マスキングされている部分には、日本の提案もイギリス提案も大差がないという趣旨の米国やイタリアの見解が示されていた可能性がある。また、日本提案とイギリス提案との一本化のために、米国政府代表団らと非公式会合を持っている。この非公式会合の結果は、大使から外務大臣に宛てた平成12年2月16日発信の公電に詳細に記載されているが、11ページ分が全面的に非開示とされている【ヤメ蚊:冒頭の写真右】。
⑥ 共謀罪を新設しなくても、組織犯罪を未然に防止するための法制度がある。(例、各種予備罪、教唆、幇助、共謀共同正犯の判例、暴力団対策法、等)ので、条約の批准のために共謀罪を新設する必要な無い(日弁連の見解)
⑦ ⑥で共謀罪を必要と考えたとしても、長期4年以上の犯罪すべてに一律に共謀罪を新設するというような法体系を大幅に変更する立法を行うには議論不足である。

以下に原文を引用する。

■■引用開始■■

 その後の情報も総合すると、政府与党内部に24日共謀罪強行採決の共謀の事実があること、具体的な準備行為がなされていることは確認できました【ヤメ蚊:この点、保坂議員のブログで修正情報あり、ただし、日経が優先法案だという記事を掲載しており、危険度は下がっていない】。
 これが準備の段階にとどまるのか、実際に実行されるかは、北朝鮮情勢、補選結果、法務委員会幹部の動向、政府与党の国対の動きの変数として決まってくることになります。そして、明日の火曜日までに、どれだけ多くの国民から国会に強行採決NO!の声が集中されるかが決定的な要因になることでしょう。政府与党には、強行採決の企図を断念し、一国の刑法体系にかかわる重大問題について、以下に示す基本的な疑問点に答え、冷静で真摯な対応をするように、強く求めたいと思います。

共謀罪を強行採決してはならない7つの理由
-国連条約批准のために共謀罪導入以外に選択肢はある-

                        海渡 雄一(弁護士)

はじめに
○ 第164回国会までの共謀罪に関する国会審議は、組織犯罪条約5条【ヤメ蚊:共謀罪か参加罪を設置するよう求める条項】の国内法化のための措置であるとの政府の説明を前提として、その適用範囲をできる限り限定するための修正案の可否とその内容をめぐって闘わされてきた。
○ しかし、2006年6月の政府与党による民主党案丸のみ事件を契機として、このような立法の必要性そのものに大きな疑問が提起された。
○ 政府原案はもとより、与党修正案も600を超える国内犯罪について共謀罪を制定するものとなっているが、このような共謀罪の新たな制定がなければ、国連組織犯罪防止条約を批准できないという政府の説明は論証されていない。
○ そもそも、条約の批准とは,条約締結国となる旨の主権国家の一方的な意思の表明であって,条約の批准にあたって国連による審査という手続は存在しない。【ヤメ蚊:それにもかかわらず、政府は共謀罪がを批准するにあたって何か審査が必要であるかのように政府は説明した】
○ 以下に、共謀罪を強行採決してはならない理由を7点にわたって説明する。

第1点 世界各国の国内法整備状況は政府の説明と大幅に異なっている
○ 新たな共謀罪立法を行ったことが確認された国は,ノルウェーなどごくわずかであり、他に立法を行った国は確認されていない。
○ アメリカ合衆国は,州法では極めて限定された共謀罪しか定めていない場合があることを国務省の大統領宛批准提案書の中で指摘した上で、国連越境組織犯罪防止条約について州での立法の必要がないようにするため,留保を行った上で条約を批准した。州レベルでは広範な共謀罪処罰は実現していない【ヤメ蚊:この点はここ←参照】。
○ すでに判明しているだけで,組織犯罪の関与する重大犯罪の全てについて共謀罪の対象としていないことを認めている国が5ヶ国(ブラジル,モロッコ,エルサルバドル,アンゴラ,メキシコ)存在する【ヤメ蚊:つまり日本でも本当に重大な犯罪には共謀段階で取り締まる法律があるのだからそれで十分】。
○ セントクリストファー・ネーヴィス【ヤメ蚊:国の名前。初耳】は,越境性を要件とした共謀罪を制定して,留保なしで国連越境組織犯罪防止条約を批准している。
○ これらの諸事実は、政府のこれまでの国会答弁と明らかに矛盾しており、場合によっては虚偽答弁として、政府関係者の責任を問題とすべきである。

第2点 国連立法ガイド【ヤメ蚊:条約を国内法化する際のガイドブック】は条約批准のために条約の文言通りの共謀罪立法をすることを求めていない
○ 国連越境組織犯罪防止条約第34条第1項は,国内法の基本原則に基づく国内法化を行えばよいことを定めているが、この規定は、各国の国内法の法体系を尊重するべきであるという日本政府の提案を受けて制定された。
○ 国連が各国の国内法起草者向けに作成した立法ガイドには,「国内法の起草者は,単に条約文を翻訳したり,条約の文言を一字一句逐語的に新しい法律案や法改正案に盛り込むよう企図するよりも,むしろ条約の意味と精神に主眼を置くべきである。」「したがって,国内法の起草者は,新しい法が国内の法的な伝統,原則,および基本法と合致するものとなることを確保しなければならない。」(43パラグラフ)との記載もある。
○ 立法ガイドの51パラグラフは「第5条第1項(a)(ⅰ)および(a)(ⅱ)の2つの選択肢は,このように,共謀の法律(conspiracy laws)を有する諸国もあれば,犯罪結社の法律(criminal association laws)を有する諸国もあるという事実を反映するために設けられたものである。これらの選択肢は,共謀または犯罪結社に関する法的概念を有しない国においても,これらの概念を強制することなく,組織犯罪集団に対する実効的な措置を可能とする。」
○ つまり,英米法の共謀罪(コンスピラシー)や,大陸法の参加罪(結社罪)の概念をそのまま導入しなくても、同条約5条の要件を満たすことは可能なのである。
○ 条約5条は締約国に組織犯罪対策のために組織犯罪集団の関与する重大犯罪について未遂以前の段階での対応を可能とする立法措置を求められているものと理解され、条約の文言をなぞって、共謀罪や参加罪を立法化する必要はなく、条約の精神に忠実であれば,かなり広い範囲の裁量が認められている。

第3点 日本政府はもともと共謀罪ではなく、国内法制定を最低限とするため、行為参加罪の選択肢を検討していた
○ 1999年1月に始まった条約の起草作業において、議長提案された原案には、ほとんど限定のない共謀罪と結社参加罪の提案がなされていた。これに対して、1999年3月の第2回アドホック委員会において、イギリス政府からオプション2として、参加罪については参加して行為する類型の修正参加罪が提案された。
○ 法務省も認めているように、第2回アドホック委員会において、日本政府代表団は「日本の国内法の原則では、犯罪は既遂か未遂段階に至って初めて処罰されるのであり、共謀や参加については、特に重大な犯罪(certain grave crimes)に限定して処罰される。したがって、すべての重大な犯罪(serious crimes)について、共謀罪や参加罪を導入することは日本の法原則になじまない」「それゆえ、参加行為の犯罪化を実現するためには、国内法制度の基本原則の範囲内で実現するほかない」としたうえで、①共謀罪については、「組織的な犯罪集団の関与する」という要件を加えることを提案し、②参加罪については、参加する行為がその犯罪行為の成就に貢献することを認識しつつなされたものであることを要件とする新しい類型の参加罪の規定を設けるよう提案し、さらに、③3条1項(a)と(b)の間に「国内法の原則に従って」というフレーズを加えることを提案した。
○ このうち、②の提案について、日本政府は「3条1項(b)の(ⅰ)と(ⅱ)は、英米法系あるいは大陸法系の法体系のいずれかに合致するものとして導入されるように考案されている。条約をさらに多くの国が受け入れられるようにするためには、世界各国の法体系が英米法、大陸法という2つのシステムに限定されていないことから、第3のオプション、すなわち、『参加して行為する』ことを犯罪化するオプションを考慮に入れなければならない」という提案理由を述べていた【ヤメ蚊:本当にまっとうな提案だ】。
○ この提案は、条約が参加して行為することを要件とすれば、我が国の刑法の共犯規定などによってこのような行為のほとんどは既に可罰的であるから、国内法に大きな改変を加えることなく、条約を批准することができるという考え方に基づくものであった。
○ この日本政府提案は国連の立法ガイドの先に引用した51パラグラフとほぼ同内容となっているから、国連立法ガイドは日本のような法制度・法体系を念頭に置いて、日本が国内法の原則に反するような共謀罪立法を作る必要がないことを示唆している。

第4点 5条の起草の経過において、日本政府が行った方針転換の理由が明確に説明されていない
○ この提案は、米国らとの非公式会合において協議され、なぜか、日本政府は、平成12年1月に開催された第7回アドホック委員会において、①及び③を盛り込み、②を削除し、イギリス提案を少し修正した修正案を自ら提案し、その案が条約の最終案となっている。
○ しかし、イギリス提案と日本政府の提案は、自己の参加が犯罪〔日本案〕もしくは組織犯罪集団の目的〔イギリス案〕の達成に寄与することを認識して組織的な犯罪集団のその他の活動に参加する行為の犯罪化を求めている点で共通している。
○ 組織犯罪集団の目的は犯罪の遂行なのであるから、日本案とイギリス案の差異はそれほど大きくない。
○ 法務省は、ホームページの説明において「別の類型の参加罪の規定を設ける点については、処罰の範囲が不当に狭くなるとして各国に受け入れられませんでした」と主張しているが、その説明は,事実に反するものではないかと私は疑っている。

第5点 国会審議に不可欠な第2回第7回の起草委員会の記録が開示されていない
○ 日本案が提案された第2回アドホック委員会の議事録は、大使から外務大臣に宛てた平成11年3月31日発信の公電に記載されているが、前記の日本提案について、米国政府代表団らが評価を下している部分が開示されていない【ヤメ蚊:冒頭の写真左】。
○ 同公電本文13頁には米国等の代表団の反応として、「(伊、米)これは、サブパラ(a)及びサブパラ(b)=参加罪とどこが異なるのか明らかにされる必要がある」と記載された後8行にわたって、公開された会議の内容であるにもかかわらずマスキングされており、公開されていない。
○ マスキングされている部分には、日本の提案もイギリス提案も大差がないという趣旨の米国やイタリアの見解が示されていた可能性がある。日弁連は、会議に参加していた日弁連代表(峯本耕治弁護士)の記録からこの事実を確認している。
○ そうだとすれば、日本政府が、なぜこのオプションを放棄して共謀罪の立法化を選択したのか説明がつかない。この非開示部分を公開することは我が国の国内法化の選択の根拠を知る上で、核心となるものである。
○ 第7回会合において、日本政府代表団は、日本提案とイギリス提案との一本化のために、米国政府代表団らと非公式会合を持っている。この非公式会合の結果は、大使から外務大臣に宛てた平成12年2月16日発信の公電に詳細に記載されているが、11ページ分が全面的に非開示とされている【ヤメ蚊:冒頭の写真右】。
○ さらに、日本政府は、第7回アドホック会議において、日本政府代表団が前記②を撤回した案を提案した過程とそれに関する協議の内容について平成12年2月17日発信の公電には、わずか13行しか記載されていない。この点の詳細は、平成12年2月16日発信の公電に別途詳細に記載されているが、2頁分の文書がマスキングされており、その内容は明らかとされていない。
○ 私は、この非公式協議と公式会合において、アメリカから共謀罪について組織犯罪集団の関与を要件とすることを認めるので、参加罪オプションを放棄して共謀罪オプションを採用して英米法の法体系に親和性を持った刑法を作るよう強い働きかけがなされたのではないかと推測する。
○ この問題は、我が国の法体系に関わる重大事であるのに、日本政府代表団はアメリカ政府との非公式協議の中で強い働きかけを受けて、何の民主的な手続きを経ることもなく、妥協した疑いがある。すくなくとも、これらの経過について一切明らかにならないまま、一方的に「処罰の範囲が不当に狭くなるとして受け入れられなかった」と説明をされても信用することはできない。
○ 公式会合の経緯を記した文書まで不開示にすることには何の根拠もなく、政府はその内容を明らかにすることが必要である。今臨時国会での国会での審議に際しては、以上に指摘した未開示部分について、その内容を明らかにした上でなされなければならない。
 
第6点 我が国には既に組織犯罪の未然防止のための法制度が兼ね備わっている
○ 我が国においては,組織犯罪集団の関与する犯罪行為の未然防止のためには有機的な法制度が形成されている。
○ 数々の未遂前の段階で取り締まることができる各種予備・共謀罪が合計で58あり,凶 器準備集合罪など独立罪として重大犯罪の予備的段階を処罰しているものを含めれば重大犯罪についての,未遂以前の処罰がかなり行われており、組織犯罪集団の関与する重大犯罪については未遂前の段階の犯罪化はほぼ満たされている。
○ 刑法の共犯規定が存在し,また,その当否はともかくとして,共謀共同正犯を認める判例もあるので,犯罪行為に参加する行為については,実際には相当な範囲の共犯処罰が可能となっている。また、暴対法や組織犯罪処罰法における犯罪収益に対する規制など、広範な組織犯罪集団の犯罪目的遂行のための諸活動の一部が独立の犯罪として処罰可能となっている。
○ テロ防止のための国連条約のほとんどが批准され,国内法化されている。
○ 銃砲刀剣の厳重な所持制限など,アメリカよりも規制が強化されている領域もある。以上のことから,我が国の法体系は組織犯罪集団の関与する全ての重大犯罪について、これを未然に防止することのできる法的措置を既に兼ね備えているものと評価することができる。したがって、日弁連は新たな立法を要することなく,国連の立法ガイドが求めている総合的な組織犯罪の未然防止のための法制度はすでに確立されているとして、条約を批准することができると考えるに至ったのである
(http://www.nichibenren.or.jp/ja/special_theme/complicity.html)。

第7点 仮に条約の求める範囲と日本の国内法に齟齬があるとしても、国内法の体系に関わる以上冷静な議論こそが求められている
○ 仮に、日弁連のような立場をとらず、条約の求める範囲と日本の国内法に一定の齟齬があるとする立場に立ったとしても、ことは国内法の体系や原則に関わる重大問題である。
○ 法務省は現状の法体系の下で、組織犯罪集団の関与する重大犯罪であって、未遂以前の段階で可罰的ではない例としてホームページ上で組織的詐欺罪と人身売買の二つの類型を具体的に指摘した。逆に言えば、政府が本当に必要としている未然防止策の範囲はその程度しかないということとなる。
○ 慶應義塾大学の伊東研祐教授はジュリスト1321号(10月15日号)の「国際組織犯罪と共謀罪」の中で、政府の対応を基本的に支持する立場を表明されているが、その論文に次のような興味深い指摘がなされている。
 まず、金銭的物質的な目的を要求する目的犯化が提唱されている。この点は政府与党案にも盛り込まれていない。また、対象犯罪についても、長期4年以上の犯罪では、「多種多様な犯罪が含まれるために、どのような場面のどのような行為が具体的に共謀罪として処罰され得るか、ということが明らかでなく、行為規範として機能し難い、という点でああろう」「個別具体的な妥当性の確認という趣旨においても、対象犯罪の列挙ということを考える方が妥当であると思われる。」(79ページ)
○ 私も、法務省の指摘する組織的詐欺罪と人身売買だけであれば、組織犯罪集団の関与を要件とした予備罪新設を構想する余地はあると考える。しかし、長期4年以上の全ての犯罪について共謀罪を一律で新設するような立法措置には、その構成要件に組織犯罪集団の関与や顕示行為を要するとの趣旨でどのような限定を付したとしても反対せざるを得ない。最初に述べたように、この条約に基づいて新たな共謀罪を制定した国はほとんどないに等しい。政府与党はこのような極端な立法構想の誤りを認め、これを撤回し、条約を批准してからゆっくりと、諸外国の実情も調査検討しながら、どのような国内法化が望ましいのかを考えていくという、現実的で冷静な選択に立ち戻るべきである。

■■引用終了■■

さて、あとは薫のハムニダ日記さんのところにあるリストを使って抗議できるところには抗議のメールでも電話でもするしかないってことか。

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October 21, 2006

耐震偽装問題で記事が消された「アパ晋会」

わお!共謀罪25日にも強行採決の噂!でネットは持ちきりじゃないですか。かなり気になるところですが、今日は耐震偽装問題がまた偽装されてるってことで。

耐震偽装問題で18日にイーホームズの藤田社長に判決が下りたことが気になっていた。

そして、「反戦な家づくり」さんで、「日本を語るワインの会」(命名:アパ晋会)の記事を目にして、以下の記事についてコメントを書こうと思い、ブックマークしていたら、記事が20日には消されてしまっていたので驚いた。

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ブックマーク先:http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20061018/eve_____sya_____006.shtml

すぐに消されてしまう記事はコピーして保存しておく価値があるということだ。以下キャッシュを保存する。


『アパ物件にも偽装』
藤田元社長暴露


判決後、会見で別の耐震偽装疑惑を述べる藤田被告=18日午前、東京・霞が関の司法記者クラブで
 「国がどうやって真実をねじ曲げてしまうか、みんな知らない」。耐震強度偽装事件の“登場人物”の一人とされ、東京地裁で十八日、有罪判決を受けた民間確認検査機関「イーホームズ」(廃業)元社長藤田東吾被告(45)が判決後、記者会見で「爆弾告発」をした。「アパグループの物件でも偽装が行われた」。藤田被告は激高した口調で、国や捜査当局を「耐震偽装を隠ぺいするために私を逮捕した」と批判、マスコミに真実を追及するよう訴えた。

■首都圏マンションなど

 耐震強度偽装事件に絡んで十八日、東京地裁で有罪判決を受けた民間確認検査機関「イーホームズ」(廃業)の元社長藤田東吾被告は判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見し、「イーホームズが確認検査をしたホテル・マンション大手『アパ』グループの三つの物件でも耐震強度の偽装があった」と述べた。

 アパは今年六月、「イーホームズより構造計算書に一部不整合があるとの報告を受け、検証中」と明らかにしていた。

 藤田被告によると、イーホームズが偽装を確認したのは(1)埼玉県鶴ケ島市のマンション「アップルガーデン若葉駅前」(2)千葉県成田市のマンション「アパガーデンパレス成田」(3)川崎市内の物件-の三物件。

 偽装に気付いたのは今年二月。アパグループの物件の構造設計を請け負っている富山市内の設計事務所の代表がイーホームズに来社し、藤田被告に打ち明けたという。

 この後、アパの役員らがイーホームズを訪れ、計画の変更を要請。「アップルガーデン」と「ガーデンパレス」は「計画変更も再計算も適切ではない」と判断し、工事は現在中断しているという。

 藤田被告は「国に通報して、アパの物件を調査するように要請したのに、担当者は『関知しない』と取り合わず、アパは工事を止めなかった」と述べた。

 その上で「本質は確認検査ではなく、偽装が可能なレベルの構造計算プログラムの問題だ」と主張。「その責任は、プログラムの運用プロセスを認定した国土交通省と同省の天下り団体である『日本建築センター』にある」と訴えた。

「アパ晋会」では美しくて有名な女社長と美しい国日本についてワインを片手に語り合うそうです。


けったくそ悪いですね。

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October 06, 2006

ぶっこわれたのは自民党だけじゃない-生活保護世帯100万件突破

「自民党をぶっこわす」。そう叫んだ小泉純一郎の成果が数字であわられた。

生活保護世帯、初の100万突破(読売新聞)

 2005年度の生活保護世帯数(月平均)は104万1508世帯と前年度より4・3%増となり、1951年度の統計開始以来、初めて100万世帯を突破した。

 被保護者数も10年連続増加の147万5838人だった。新規の生活保護世帯は減少傾向にある一方、生活保護受給を続ける世帯が多く、保護世帯は13年連続の増加となった。

 厚生労働省は、「いったん保護世帯となると長期化する傾向がみられる。長期化は、格差の固定化を示している可能性がある」と分析している。

 同省が6日公表した社会福祉行政業務報告で明らかになった。05年度の内訳は「高齢者世帯」が45万1962世帯とトップ。次いで「障害者・傷病者世帯」38万9818世帯、「その他の世帯」10万7259世帯などだった。

[読売新聞社:2006年10月06日 20時56分]

今度は、安倍晋三が「美しい国」と叫んでいるが、自分たちのやってきた政策の成果で、格差が固定化している状態をどのように感じているのだろうか。
「再チャレンジ」と這い上がれない層を叱咤激励するだけで、問題が解決するとは到底思えない。

以下は、独裁制をぶっこわそうさんからのご提案で、安倍晋三の画像を探していたら、なんだか微妙にあぶなげな写真を発見してしまった。

Abe_1

そしたら、手が勝手に動いて…以下のようなものに仕上がってしまった。

Itou


ほんの出来心ってやつです。糸の上には背中にリモコンをつけたジョージ・ブッシュJrと更にそれを操るライスとかの画像が脳裏にあったことも出来心です。リングの画像の「にくいしくつう」は、なぜかウチのブログだけで巨大に表示される。これは何かの陰謀だろうか。

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October 05, 2006

10月13日締め切り間近!-緊急署名にご協力を

多文化・多民族・多国籍社会で「人として」さんから、「Under the Sun」にTBが入っていましたので、またまた転載(笑)。

交流のある「日記はこれから書かれるところです」の足踏堂さんや「本に溺れたい」のrenqingさんも取り上げてきた、アフガニスタン難民のアリジャンさん。
彼は、戦禍から逃れてきた日本で、「難民認定」という東大に入るより、甲子園で優勝するより難しい関門と闘いつづけています。しっかし、難民の受け入れ14人しかいないってどーゆーことよ?と思いつつ、少しだけでも助けになることをすることが大切と思っております。
高裁判決で勝訴し、法務大臣も上告しないことにして勝利したはずなのですが、出入国管理局は、「改めて」今の状況で彼を難民として認定すべきかどうかを判断するとほざいているようです。

>【ワンクリック緊急署名のお願い】アフガニスタン難民の在留資格について
2006.10.04.00:10ころ

2001年に「難民不認定」とされたアフガニスタン出身のアリジャンくんは、先月、「難民不認定」が誤りだったことを認める判決が確定し、「難民不認定」から「難民申請中」の状態に戻りました。

しかし、日本政府は、「難民と認定するか、在留特別許可を認めるか、あらためて調査するぞ」というわけで、

アリジャン・プロジェクトが署名活動を開始しています。

オンラインでのワンクリック署名、もしくは署名用紙による署名があります。締切は10月13日(金)です。

趣旨に賛同いただける方は、よろしくお願いします。

最近、署名とかの緊急転載多いですね~。
助けたい人やなんとかしたいことがあれもこれもありすぎるので、全てはやりきれないけれども何にもしないよりは少しはマシだろう程度にやっておりますので、みなさまよろしく。

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October 04, 2006

Fragment

世の中の環境に負けないくらい私的な環境が激動し、もやもやと言葉で切り取りきれない何かを感じていた。「記憶の断片」として何かを感じた場面を切り取り始めた。その数日後、「Fragment(断片)」という題名の映画のポスターを発見した。奇妙な符合に同時代の繋がりを感じて、この映画は是非観ておきたいと思っていた。

10月1日(日)雨天。渋谷アクティブXに鑑賞に行く。アクティブXは、ほんとうに小さな劇場。定員が40人ということで、あっというまに満席になる。

冒頭、監督の佐々木誠が「ドキュメンタリーって、ある意味フィクションっていうか作り手が、BGMやナレーションをつけて、結論付けてあげるみたいなことが違うと感じて作りました。これはドキュメンタリーではなく記録映画です」と言ったとおり、そこに作られたドラマは無い。BGM無し、ナレーションも無しのソリッドな映画だった。

井上実直というタレントのことも日蓮正宗がどのような教義であるかも何もかも知らない私が、彼の行動の目撃者となった。
井上は、一人の普通の若者として9・11の跡地グランドゼロを眼前にし、「平和」を強く意識し、心から祈りを捧げたいという気持ちに突き動かされ、祈りを捧げる人として目覚め100日間に及ぶ荒行に入り、再びグランド・ゼロに立ち祈祷をあげる。一心不乱にさらに、パールハーバーでも祈祷する。

彼のただ平和のために、犠牲となった人々の冥福を祈りたい。それだけのために、命がけの荒行に及んだ。その背景は、語られてはいない。ただ、饒舌ではない彼の「僧侶」としての表現が「題目」であるとするのならば、命がけの荒行に臨む必然性は無い。「修法師」となるためには、100日間ただひたすらに題目を唱え、粥をすすり、睡眠を制限し、冷水を浴びる。精神と肉体を人為的に極限まで追い込み、臨死する。蝉のような「題目」の喧騒の中、極限の状態で恍惚とした宗教的体験を経て「生まれかわった」姿で、グランド・ゼロに立ち、魔を祓う。
彼に「お前何している?こんなふうになって喜んでいるのか?」冷たい言葉が浴びせられる。彼は英語がわからず、通訳はそれを訳さない。その冷たい言葉と彼は向き合ったのだろうか。

彼は切実に祈りを捧げたいと思った。その切実さだけをフィルムが切り取っていく。そこから何を読み取るのかについては、目撃者に完全に委ねられている。

9・11以降の世界で、あの惨劇の目撃者となったわたしたちは、それぞれ切実に、何かを祈り、考え、言葉で切り取り、または忘却し、生きてきたのだ。
ただ、そのままにはしておけないと心の片隅にひっかかる断片を引き連れて。

「Fragment」は、非日常を切り取っているのではない。これもまた、一つの日常として、提示されている。ドラマの不在は、外形的人生そのものであり、内在的自己との対極でもある。
それぞれに自分なりの結論を探して彷徨っている一人一人が、目撃者であり、主人公なのだ。

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